知ってた?新宿東口ライオン像の秘密 お金を入れると...大声で吠えます
周囲の目を引くギミック
人の行き来が激しい新宿駅の東口。ライオン像の存在を知っている人は多くても実際に募金をして、この仕掛けを知っている人はあまりいなさそうだ。
2019年2月13日、筆者は実際にライオン像の前を訪れた。
勇ましいライオン像が吠える――募金するにあたって、こんな期待を感じたことはない。しかし、あまり吠える事実が前面に出されていないような気がする。知らない人も多いのでは?
お金を入れる前に周囲を見渡すと看板があった。
大きく募金の使い道がかかれている横に、
「ライオンの口に紙幣や硬貨を投入すると、吠えます」
と大分控えめに記載されている。では、思いっきり吠えてもらおうじゃないか!
ここはリッチに紙幣をいれようとも考えたが、キャッシュレスで生きる筆者の財布には硬貨しか入っていなかったので断念。100円玉を投入して試した。
まさか吠えるだけではなく、女性の声で「ありがとう」と言われるとは予想外だった。募金をしたどころの話ではないようなワイルドな音。そして、思っていたよりもリアルで、ビックリするくらいの音量だ。
新宿の駅前で発せられたライオンの鳴き声に、近くの通行人が一瞬だけこちらを向いた。確かに知っている筆者は感激したが、何も知らない人からするとライオンの声をどこかから出している変な奴にしか見えないのかもしれない。
ここである疑問が浮かぶ。なぜ、こんなギミックを搭載しているのか。記者は同日、このライオン像の所有者で、維持管理も行う東京新宿ライオンズクラブの伊藤春雄会長に話を聞いた。
さっそく、声が出る理由を聞くと、
「より多くの寄付金をいただくためです。お礼としてライオンが声を出します。そうして周囲に興味を持っていただければ」
とコメント。実際、吠えた瞬間に近くの人が振り向いた。とはいえ、誰かが募金しないと始まらないという欠点があるとも言える。
19年前に設置されたというライオン像。屋外にあるため、お金を感知する機械などが壊れてしまったこともある。その都度、修理して募金をすればライオンが吠える状態を維持している。あの場所で募金をしてくれた人への感謝の声――それだけに絶やせない。
周りの目を引くため少々勇気がいるものの、一度投入して連鎖的に寄付金が集められれば素晴らしい輪ができあがる。筆者も興味本位で募金をしたものの、立ち去った後に誰かが1円でも入れてくれていたのなら、少しは社会の役に立てたのかもしれない。