八戸ノ里、高見ノ里、鼓ヶ浦... 近鉄駅名は「四股名」みたい?その理由を探ってみた
大相撲初場所の熱戦が繰り広げられる2019年1月、インターネット上では「鉄道の駅名が力士の四股名に似ている」ことが話題になった。
既出も既出だと思うんですけど、稀勢の里ってめっちゃ近鉄っぽい四股名ですよね(大阪線あたりに紛れ込んでいても違和感なさそう)
— Keihan7203F (@Keihan7203F) 2019年1月16日
こういったつぶやきをきっかけに、相撲中継風の自作画像が作られるなど、大いに盛り上がっていたネットユーザーの皆さん。確かに近鉄には「八戸ノ里(やえのさと)」(奈良線)「土師ノ里(はじのさと)」「高見ノ里」(南大阪線)と、惜しまれつつ引退を発表した横綱・稀勢の里関のような駅名があるし、大関・高安関と同名の高安駅(大阪線)もある。
四股名と駅名、その由来は...
話題に上っていたのは、近鉄南大阪線や大阪線あたりの駅名だが、三重県内の近鉄沿線にも「海山道(みやまど)」「鼓ヶ浦(つづみがうら)」(名古屋線)、「五十鈴川(いすずがわ)」「朝熊(あさま)」(鳥羽線)と四股名のような風流な駅が目につく。
そもそも力士の四股名の発祥は江戸時代にさかのぼる。
和歌や古典の語や名勝、また出身地の地名にまつわって名付けることが多かったので、必然的に自然気象、旧国名、地名に由来するものが多い。「~川」「~山」などはその典型だが、年寄名跡になるとさらにその傾向が顕著になる。「高砂」「田子ノ浦」「玉ノ井」「陸奥」など実在地名と同じ名称が少なからずあり、駅名とは由来が重なってくるものである。
まして近鉄沿線は奈良・伊勢・京都・大阪と日本で最も歴史の長い地域を走るゆえ、難読駅名や由緒のある駅名のオンパレードなので、現代の感覚でみると四股名と同様、時代がかった重々しいものに映るのも無理はない。
もともと土地柄から難読駅名が多い関西。他社の沿線でも「帝塚山」「浅香山」「松ノ浜」「金剛」(南海)、「杭瀬(くいせ)」「打出(うちで)」(阪神)などなど、国技館で読み上げられても違和感のなさそうな駅名がちらほら。浅香山駅に至っては年寄名跡「浅香山」が実在する。大相撲が日本の風土にぴったり根付いて続いてきた文化だと改めて認識させられる、四股名と駅名の関係だ。