激辛カレーの元祖「ボルツ」のいま ブームから30年...都内唯一の店舗を訪れた
カレーと癒しの空間で
2019年1月15日現在、激辛ブーム時には代表的だった渋谷と新宿の店舗はない。昔行っていたが、今はその存在を覚えていない。そんな人も多いのではないか。
1月11日、筆者は東京メトロ神保町駅から歩いて数分のボルツ神田店に足を運んだ。
入居しているビルが工事中のため少し見えにくいが、ボルツの看板は健在だ。
店外を撮影していると男性に話しかけられた。「ああ取材の人? 中でちょっと待っててください」―― この優しい男性は店長の倉田茂樹さんだ。
お言葉に甘えて中に入ると昭和で時が止まったかのようなレトロで温かい空間があった。
木の床は歩く度に軋む。コンクリートの硬い道を歩き続けているせいか、軋む音と柔らかい道が足の疲れを抜いてくれる。
程なくすると倉田さんが戻ってきた。筆者が入店したときにお客さんはおらず、早速調理に取りかかってくれた。
メニュー表にはボルツ最大の特徴である辛さの一覧も載っている。マイルドとホット以外は全て料金が増える。生クリーム入りのソフトマイルドから始まり最大で30倍ホットまで辛さは選り取り見取り。
しかし、筆者は辛いものが大の苦手。記事としては30倍ホットに挑み悶絶する姿が好ましいのは承知している。とはいえ、あまりに苦手なので今回は回避してマイルドを注文した。
ライスとルーは別々。福神漬けはもちろん、大根の酢漬けなど4種類の付け合わせがあり、中でも玉ねぎのヨーグルト漬けは辛さを中和してくれるありがたい薬味だ。
今回はチキンに加えて昔ながらにゆでたまごをトッピングした。倉田さんによるとチキン以外にもビーフ、アサリなどがあるものの、どれかが突出した人気があるわけでなくどの具も万遍なく人気があるという。
ごはんにかけて食べる王道スタイルではあるが、ルーはサラサラとしておりとろみは抑えられている。
小麦粉とカレー粉は使用しないボルツのカレー。味のアクセントは何と言ってもスパイスだ。10数種類のスパイスを独自にブレンドされており、程よい硬さのチキンからあふれ出る旨味にシャープで優しい刺激が加わる。思わず天井を見上げて美味しさに酔ってしまう。
マイルドを注文したものの、途中から汗が止まらず辛さにやられてしまった。そんな時はヨーグルトにつけた玉ねぎが助けてくれる。辛さを鎮めるだけでなく、より旨味を引き立ててご飯が進んでしまうのだ。
激辛ブームの申し子と聞いていたが、計算されたこだわりのカレーの美味しさこそがボルツの特徴のようだ。