イブの夜、湘南の海にカップルはいる? 全力で探した結果→ヤンキーしかいなかった
寒い、寒すぎる...
2018年12月24日深夜から日をまたいでの取材となった。江の島の25日の最低気温は3度という情報も出ているが、3度どころの話ではない。海風が肌を刺すようだ。
スタート地点は茅ヶ崎市のサザンビーチ。言わずとしれた名所を今回は回っていく。
この場所に到着したのは24日の23時15分ごろ。いくらクリスマスといえ、翌日が平日なだけあって国道134号線の車通りもまばら。ましてやビーチなんて入口付近には誰もいない。
しかし、望みを捨ててはならない。情事は隠れてやるのが相場だ。筆者は平塚方面に歩を進めた。
末恐ろしいことに10分程度探索したが誰もいない。おかしい。冬の海を眺めるカップルがいて―― 「寒いわ、雄二」「待てよ、いくら周囲が寒くても俺たちは熱いだろ未来」といった具合のやり取りがあるだろう。その目算が思い切り外れたようだ。
そういえば、そもそもここに来たきっかけも車で地元の友人を送ったからであるが、この構想を話したら鼻で笑われた。もしかしするとこのリサーチは前途多難なのではないか。一抹の不安を覚えつつ、国道134号線を鎌倉に向かって走らせた。
続いて到着したのが辻堂海水浴場だ。写真だと暗くてわかりにくいが、サザンビーチよりも砂浜の見晴らしさが少し良い。それだけに絶望する。全く人がいない。いたのは少し人懐っこい野良猫だけ。鎌倉方面に歩きつつ寒さに耐える。それでもいない。ここまで来ると違う意味で人恋しい。
ここであることに気づいた。サザンビーチではわかりにくかったが、日付が変わる直前にも関わらず江の島大橋のあたりはやたら明るい。そこのあたりに人が集まっているのではないか。
そこで江の島にやってきた。橋の入口で車に遭遇したこともあって人間はいるだろう。そう思って島に入ったが、いたのはヤンキー。改造車を囲み、仲間で談笑している。カップルではないが取材を試みたが、海風よりも凍てつく視線を感じて断念。筆者はやんちゃを卒業している。今はジョン・レノン(故人)と同じ博愛主義だ。
一応、観光地として整備されている場所も含め探索したもののヤンキー以外はゼロだった。
気を取りお直して次に行こう。七里ヶ浜は近くにコンビニがあったため、ツーリングの休憩をしていたライダーがいたものの、こちらも孤独を強く感じるだけ。筆者のガラスのハートが傷つくだけ。住宅街が近いため、せめて犬の散歩をしている人だけでもと考えたが、こちらも10分ほどの探索で得られたものはなかった。
時刻は0時10分。いよいよイブが終わって25日になった。いや、それでも諦めない。茅ヶ崎市民に鼻で笑われた田舎者の妄想では終われないのだ。
次にやってきたのは大本命と行っても過言ではない。由比ヶ浜鍵屋たまやと抜かしている余裕もなくなってきたが、歌川広重も描いた伝統、知名度も群を抜いた由比ヶ浜なら間違いはない。そう思った。
誰もいない。人間の生というものの気配すらない。赤い革ジャンを着た筆者が馬鹿みたいではないか。あまりの開放感に浜辺を走り無情を追い払うしかない。走った先でふざけた運命を追い越せるかもしれない。そんなことはなかったのだが。
最早ここまでか。しかし、このあたりだと首都高と東北道を経由するには少し都合が悪い。そこで番外編としてもう一か所行くことにした。
誰もいない逗子海岸。かえって清々しい気分だ。感傷にふけっていると少し気配がしたので振り返ったがあっという間に飛び去るカモメ。カモメが翔んだ―― 筆者は渡辺真知子さんじゃない。
今回は茅ヶ崎サザンビーチから逗子海岸まで6か所を回ったがカップルは皆無。やはりこの寒さではホテルで抱き合うほうが良いのだろう。
0時30分に取材終了。ヤンキー数人と猫1匹、カモメ1羽の皆さんご協力ありがとうございました。
そしてクリぼっちの読者の皆さん。こんなことやっているぼっちもいます。一人ぼっちはあなただけじゃない! メリー・クリスマス!
(Jタウンネット編集部 大山雄也)