「新巻鮭」木箱がスケボー、ウクレレに! お歳暮の定番が、職人の手で大変身
2018.11.24 12:00
ニオわない? と心配する声も
シャケ箱は、役目を終えたり、水産加工会社やシャケ箱を作る工場などから譲り受けたりしたものを使っている。
「よく、『ニオわない?』と聞かれますが、もともと加工し塩漬けされた鮭を入れて運ぶものなので、基本、ニオイはそんなにつかないんです。活動をする中で、シャケ箱を作る工場や水産加工会社などへ見学させていただきました。行ってみると、『たかが箱』が『されど箱』。新巻鮭やシャケ箱を通して、地元の方々の思いや、課題など想像していた以上のことが見えてきました」
シャケ箱から生まれた作品たちは、ネット販売するほか、北海道や東京などのイベントで展示販売もしている。北海道内でのイベントでは、年配の方から「シャケ箱はつらい仕事の象徴と思っていたけれど、変り様に驚いた」といった声が聞かれた。一方、東京のイベントでは「え?なんだ、新巻鮭は売ってないの?」という反応があったそうだ。
そんなモノづくりの活動も大工の仕事のひとつだと思っていると村上さんは言う。プロジェクトには、シャケ箱工場の方にも加わってもらい、オリジナルのシャケ箱やいくら箱を作り商品化するなど、活動の幅を広げている。
「私は木材があって楽しんで自分が欲しいものを作っているだけ。それを多くの人に面白がっていただき、北国の文化や、シャケ箱を作る会社、水産加工会社についていろいろ知ってもらえたらうれしいですね」
19年7月には、前代未聞のシャケ箱の工場で行うイベントを計画中。鮮魚店や居酒屋の前に積まれているだけだと思っていた木箱が、地元の職人たちの手で新たな進化を遂げていた。