「新巻鮭」木箱がスケボー、ウクレレに! お歳暮の定番が、職人の手で大変身
びっくりするほど、音がいい
「ARAMAKIプロジェクト」は、宮大工である村上さんと、ギター職人の鹿川慎也さん、2人のクラフトマンによる作品だ。村上さんによると、きっかけは生まれ育った北海道を離れ、宮大工として日本各地で修業していた村上さんが12年、地元に戻ったのがきっかけだったという。
「新巻鮭を運ぶ『シャケ箱』の色づかいや独特な書体など、グラフィカルな部分が新鮮に見え、カッコイイと思ったんです」
村上さんは、宮大工の修業中に「木は大切に、無駄なく使うこと」を徹底的に教え込まれたこともあり「何かできるんじゃないか」と考えたそうだ。

最初に作ったのは、バッグだった。なぜバッグだったのかと聞くと、
「シャケ箱のサイズを見て、バッグになりそうと思ったのと、その時、自分で欲しいと思えるバッグがなかったから、思い付きで作ってみたんです」
北海道では、シャケ箱にはエゾマツやトドマツなど地元で手に入りやすい木が使われる。厚さは7~8ミリ、最も厚いものでも13ミリ程度。決して良質の素材とはいえないそうだが、そんな制限がある中で、どうやったら満足のいく良いものに仕上げられるかを考え、持てる技術を駆使して本気で作ったという。

村上さんのバッグを見て、参加してくれたのがギター職人の鹿川さんだった。
「15年からは、2人でプロジェクトとしてスタートさせました。仲間であり、お互いライバルのような関係です。職人同士、いいものを作りたいという気持ちで競うように制作しています(笑)。シャケ箱でつくるウクレレはびっくりするほど、音がいいんですよ」