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<東京暮らし(5)>豊洲市場に行ってきました

中島 早苗

中島 早苗

2018.11.04 12:00
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<文・写真 中島早苗(東京新聞情報紙「暮らすめいと」編集長)>

東京と近郊で暮らす楽しみ、情報を発信するこのコラム。今月は、築地から移転した豊洲市場に行って来た、第1回の感想を綴ろうと思う。

ゆりかもめ「市場前駅」直結の豊洲市場
ゆりかもめ「市場前駅」直結の豊洲市場

開場当日の10月11日、東京新聞朝刊では、早くもその様子が報じられた。

築地から豊洲に移り、市場はどう変わったのか。私も早く知りたくて、開場の翌週16日に見に行ってみた。

場所は変われど、活気は変わらず

ゆりかもめの「市場前」駅を降りてまず思ったのは、「魚の匂いがする!」。この点は築地と同じで、なんだかちょっと安心した。

駅から繋がるブリッジを通って市場に近づいて行くと、築地とは違い、幾つかの大型倉庫のような建物に分かれて市場が構成されているのが見てとれた。市場というより、倉庫群にも見える。

まだ開場して間もなかったからだろうが、案内サインが乏しく、建物に近づいて行っても、どこが何売り場なのかがよくわからない。総合インフォメーションや、案内の人もない。辻々に警備の人が立っているのみなので、お客が警備の人に次々近づき、目的の場所などを聞いている。

案内のサインもないのは不親切ではないかと思ったが、市場を後にする頃に気づいた。ここは観光施設ではなく、プロの市場なんだ。だから我々素人に対する過剰なサービスがなくても仕方ないのかもしれない、と。

緑化された屋上からは、船で来た荷を降ろす埠頭や、オリンピック村建設中の晴海、レインボーブリッジなど湾岸エリアが見渡せる
緑化された屋上からは、船で来た荷を降ろす埠頭や、オリンピック村建設中の晴海、レインボーブリッジなど湾岸エリアが見渡せる

今回私は、開場当日のマスコミ向け内覧会などに参加したわけではなく、別途東京都だけに取材を申し込んで見に行った。まず全体を見てみて、後日あらためて、東京魚市場卸協同組合及び各店舗等に取材申し込みをし、再度行くつもりだ。

そんなわけで今回は、許可の腕章を着けて自分で見て回るだけの、アテンドもない単独取材だったが、市場組合の作っているこんな地図を見つけた。

一般の人が一番興味を持つであろう、マグロのセリが行われる7街区の水産卸売場棟や、仲卸売場や飲食店舗エリア、物販エリアなどが入る6街区の水産仲卸売場棟内の配置がよくわかる。

しかし築地の1.7倍、東京ドーム8.7個分という広大な敷地なので、移動するのにとにかく時間がかかる。7街区と6街区を往復したり、屋上の緑化エリアへ行ったりしていると1、2時間はすぐに経ってしまう。ましてや食事や買い物もするなら、3、4時間滞在するつもりで余裕を持って行った方がいい。

その飲食店舗エリアだが、訪問した16日にはまだ全店舗は営業再開していなかったにもかかわらず、フロアはすごい人でどの店も行列ができていた。

平日にも関わらず、飲食店舗エリアは大混雑
平日にも関わらず、飲食店舗エリアは大混雑

人気の寿司店などはどう見ても1時間以上は並ぶ感じで、早々に諦め、比較的列の短い洋食店「禄明軒」に入り、サックサクの揚げたてアジフライをいただいた。

それから物販エリアにも足を運んだが、こちらも国内外の観光客で賑わっている。その人の波を縫うように、小型運搬車ターレも走っている。人の多さと混沌、プロの仕事場。なんだ、人間は築地と変わっていないじゃないか。当たり前かもしれないことに安堵し、ちょっと感動した。

物販エリアも、買い物をするプロと素人両方で賑わい、時々ターレも通行する混沌ぶり
物販エリアも、買い物をするプロと素人両方で賑わい、時々ターレも通行する混沌ぶり

建物は大型倉庫みたいで無味乾燥、ほとんどのエリアには窓がなく、光も風も入らない。外気を遮断して温度と衛生を管理するのを目的に造られた施設なのだから仕方ない。

でも、900もの業者が生鮮品を売り買いする活気は変わらずそこにあった。その活気を求めて、観光客も変わらず訪れるだろう。

また遠からず来て、今度は仲卸売場や飲食店にも取材、写真も撮らせてもらおう。そう思いながら市場を後にした。

中島早苗

今回の筆者:中島早苗(なかじま・さなえ)

1963年東京墨田区生まれ。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)「モダンリビング」副編集長等を経て、現在、東京新聞情報紙「暮らすめいと」編集長。暮らしやインテリアなどをテーマに著述活動も行う。著書に『北欧流 愉しい倹約生活』(PHP研究所)、『建築家と造る 家族がもっと元気になれる家』(講談社+α新書)、『ひとりを楽しむ いい部屋づくりのヒント』(中経の文庫)ほか。
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