地ビールじゃなくて、いま「地ウイスキー」が来てる
「地酒」に「地ビール」、その土地の風土や気候を活かした風合いや味わいが楽しめるのが人気を集め、旅行先でその土地の「酒」を飲むのが目的という人も珍しくない。
1980年代に一度ブームがあった「地ウイスキー」が30年経って再び人気をじわじわと伸ばしているという。そこで日本全国で既に人気を博している「地ウイスキー」を調べてみた。
新工場も建設!?
最初に紹介したいのが、「イチローズモルト」だ。入手が困難な状況が続いているようで、大手ECサイトでも販売されているが「限定」、「お早めに」といった文字が並ぶ。日本のみならず、2018年3月に行われた英国のウイスキー専門誌主催の品評会「ワールド・ウイスキー・アワード」で、2年連続で世界最高賞を受賞。海外での人気もある。しかし、年間生産量が約9万リットルと小規模だ。全世界で人気があることを踏まえると入手困難な状態も納得がいく。
このウイスキーの製造販売を行う「ベンチャーウイスキー」(埼玉県秩父市)はこれを受けて第2蒸留所を建設中。稼働すれば現在の5倍の生産量になるという。
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歴史ある老舗も勢い伸ばす
1949年に誕生した「マルスウイスキー」も外せない。当初、鹿児島で始まった蒸留は、本格的なウイスキー造りのため山梨を経て、85年に長野県駒ヶ岳山麓の蒸溜所へと受け継がれている。
ウイスキー愛好家なら、その名を知らない人はいないとまで言われている。口当たりは丸く柔らか、優しい余韻が特徴だという。
ウイスキー作りに適した長野県にも蒸留所を持つ一方、日本最南端の蒸留所として鹿児島でもウイスキーが作られている。

兵庫・明石の江井ケ嶋酒造「ホワイトオークウイスキー」も長い歴史を持つ。1919年にウイスキー製造免許を取得してから継続して生産を行っている。
清酒製造も行っているが、その蔵人が夏になるとウイスキー製造を手掛ける。清酒の伝統製法を生かした酒母造りが特徴だ。留されたウイスキーは明石の海岸に面した熟成蔵で時を刻み、重厚な香りと芳醇な味わいになるという。

100年の歴史を持つ老舗から、21世紀に生まれた新星まで。それぞれ力を伸ばす中、「地ウイスキー」のリバイバルブームも近いのかもしれない。