置いてけ堀を探して、猛暑を行く【本所七不思議めぐり(1)亀戸・錦糸町編】
まずは「置いてけ堀」を目指す
「置いてけ堀」に行くために向かうのは「区立第三亀戸中学校」。亀戸駅東口(アトレではないほう)を出て、京葉道路を渡り、1本裏通りを進む。中学校に至るルートは別にどのような方法でも構わないのだが、目指すのは中学校の正門だ。
まだまだ日も高い時間帯に向かっているため、怪談っぽさはおろか不思議さもまったく感じられないのだが、それはそれ。あくまでも江戸のロマンを感じたいのであって、廃墟に行って心霊写真を撮るわけではないことをご理解いただきたい。
中学校の正門が見えたら、目的地はすぐ隣。正門の横にひっそりと置かれた「江東区登録史跡 おいてけ堀跡」の碑が見えてくる。周囲に堀の跡らしき雰囲気などはなく、見たところ水場や川も近くにはない。
ではなぜここが置いてけ堀跡なのか。詳細は現地の案内板を読んでいただきたいのだが、現在の学校がある場所はかつて田畑で、その中にぽつんと釣り堀のような水場があったようなのだ。そして、その水場の名前が明治42年(1909年)に発行された地図の中で「オイテケ堀」とされていたことから、同地が「おいてけ堀跡」とされた(なので厳密には跡は学校敷地内になる)。
ただし、だからここが本所七不思議に登場する置いてけ堀だったかというと、それはわからない。案内板にも、地元で昔から置いてけ堀と呼ばれていた場所は、1か所ではなかったと記されている。地図に名前が残っており、史跡として登録されたのがこの場所だったというわけだ。
暗い田畑の中にぽつんとあるお堀。そんなスポットが江戸時代の本所には複数あり、当時の人々は得体のしれない恐ろしさを感じていたのだろうか。