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「高校の修学旅行」本当に四国が多いのか、改めて検証してみた

Jタウン研究所

Jタウン研究所

2018.06.01 06:00
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Jタウンネットが2018年5月18日に配信した「高校の修学旅行、まさかのエリアが無双状態だった」で、読者アンケート(全2375票)の結果、「高校の修学旅行先が四国」だった読者が多い地域が45道府県になったと伝えた。なおこのアンケートで、四国は588票を集め、関西(16.8%)を押さえてトップ(24.8%)となっている。

これにネット上では「意外」といった声のほか、「ありえない」「四国には修学旅行で学ぶべきものは何もない」などと、批判的な意見が上がったが、東京出身の筆者もまた、改めて疑問を感じていた。投票開始当初は「関西圏が多数では」と踏んでいたからだ。そこで今回は続編として、「本当に四国が1位なのか」を検証してみることにした。

有識者「四国が1位というのは考えにくいですね」

四国と本州をつなぐ瀬戸大橋である
四国と本州をつなぐ瀬戸大橋である

そもそも、四国へ行くケースは多いのか。教育機関での旅行に関する専門機関、公益財団法人日本修学旅行協会(東京都中央区)の事務局長を務める青木正史さんに聞いてみると、

「四国が1位というのは考えにくいですね」

と開口一番に語った。

「高校の修学旅行についてみると、飛行機を使う学校も少なくないので沖縄や北海道、九州といった場所へ向かう傾向が強いです。地方の学校は東京など関東圏へ向かう傾向がありますね」

という。協会の調査でも高校では「沖縄」が最も人気であることがわかる。では、時代で差異はあるかを聞くと、「四国が多い、という時代は、当会の調査では見当たりませんね......」と言い、世代差もないとのことだった。

「あっても関西圏の一部で四国へ行く、というケースでしょうか。ただ、最近では自治体などで、こんぴらさん(金刀比羅宮)やしまなみ海道、道後温泉なんかをめぐるコースをPRしたりはしていますね。そうした動きは四国を修学旅行に選ぶ追い風になるかと思います」

と説明した。ほか、とある旅行会社に確認しても四国のシェアは高くない、と同様の回答だった。

では、Jタウンネット編集部の調査ではなぜこうも四国が伸びてしまったのだろうか――困り果てた筆者がいろいろ上司に聞いても頭を抱えるばかり、同僚の記者は陰謀論まで唱え始めた。

確かに松山への修学旅行は増えている

では、なぜ四国への票が集中したのか。調査結果に差異が出る要因としては、以下のような可能性が考えられる。

1)調査母体に偏りがある
2)四国への修学旅行が定番だった時代がある
3)四国に投票するような働きかけがあった

ひとまず、1つ1つの可能性をしらみつぶしに考えていくしかない。

1)について、Jタウンネットでは読者がアクセスした地域を元に、投票フォームを出しわけているため、読者の多い地域(とくに関東)からの票数が著しく多くなる傾向にある。なお、あくまでサイトを訪れた読者が対象で、統計学に基づいた調査のように、投票者の年齢・出身地・居住地などをもとに抽出したサンプルではない。

2)については、先の青木さんに加えて、愛媛県松山市の産業経済部観光・国際交流課の担当者に取材したところ、

「10年前に比べて学校数は増えていますね。東海・中部方面から修学旅行にいらっしゃる学校が多いです」

と説明してくれた。松山市が誘致した修学旅行学校数(小学校から高校まで)は06年で4校だったところ、17年には64校にまで増加したという。あくまで大学を除いた「学校」のくくりではあるものの、最近になって数が増えている傾向にあるようだ。ということは、かつて定番の修学旅行先だった時代がある......というのも考えにくく、定番になるにしてもこれから、というところなのだろうか。

3)については、弊社のシステム担当者に「何か異常なアクセスなどは無いか」と調べてもらったが、「特段疑わしいのはなさそうでした」との返答が。各県から「四国」にそれぞれ8~15票ずつ入り、総計で588票となったのは「真っ当な数値ではないか」との見解だった。なお、同じIPアドレスからの大量投票は、システム側で制御されている。

「1位になってほしい」という期待か?

もはや万事休すか――真相は藪の中、と片付けてしまってもいいのだが、四国での修学旅行の誘致の活動があるのは事実だ。

先に書いた松山市のケースはもちろん、他にも香川県ではうどん打ちの体験や、丸亀うちわ作り、88か所のお遍路をめぐるものなどのコースがあるし、徳島県では「農家民泊」を体験する取り組みで修学旅行生を誘致するといったものもある。

こうした活動が少しずつ広まりを見せて、四国へ修学旅行に行く学校が少しずつ増えてきているのだろうか。数値として1位である、というインパクトはないにしても、今回の「四国1位」というのは、今後の期待も込めたアンケート結果だったのかもしれない。

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