じわじわ進む、地方行政のAI導入 ドコモが描く未来とは
地方公共団体との連携では、AI活用の価値が分かりやすい
ドコモは、横浜市資源循環局と共同で、AIによるごみの分別案内のサービス「イーオのごみ分別案内」を2017年3月に導入。「チャットボット」という対話型のシステムを利用したもので、捨てたいごみの名称を入れると、どこに分別をすればよいかを教えてくれる。
従来は検索システムを導入していたが、回答にたどり着くまでに時間や手間がかかることが問題点とされてきた。「イーオ」導入で効率よく情報提供できるようになり、当初は17年3月から6月下旬までの実施期間だったものの、好評だったことを受けて18年4月から本格的に導入されている。
Jタウンネットが、ドコモのイノベーション統括部クラウドソリューション担当の小林拓也氏に聞くと、
「横浜市には、民間事業者との連携を仲介する『共創フロント』という窓口があります。そちらに、いくつかドコモの技術をご紹介させていただいた際に、興味をもっていただいたのがチャットボットでした」
と、その連携の経緯について語った。連携の結果、チャットボットの導入にあたっての知見が得られたほか、顧客のニーズ傾向なども把握できたという。
「地方公共団体との連携はお客さまに対し、わかりやすい価値を提案できます。企業との連携の場合、連携企業の業界ならではの課題もあり、専門にしていなければ実用化のイメージが湧かない場合もあります。しかし、地方公共団体との連携の場合、市民や区民等の課題の解決策となるため、誰もがその課題に対し共感しやすいという点があります。また、利用ユーザ数も市民や区民等を対象とするため、社会的にも大きな影響を与えることができます」
と、地方公共団体との連携におけるメリットについても言及した。
ドコモではほかにも、各種自治体とAIに関する取り組みを行う。その一例が、名古屋市の東山動物公園との連携で導入している「教えてズーボっと」だ。
これも「チャットボット」の技術を用いたもので、園内でどこに動物がいるのかを教えてくれる。「広大な敷地を有する施設などにおいては、返却された位置情報をタップすることで、GoogleMap等で自分の位置と探しているものの位置関係を即座に確認することができます」と説明している。