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「廃校」の食品工場化が進んでる! 生ハムにシイタケ、とくにアワビ養殖は全国各地で

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.05.21 17:00
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結構活用されている全国の廃校

現在の廃校事情は、文部科学省の資料から簡単に知ることができる。2017年に「廃校施設活用状況実態調査」という調査結果が公表されているのだ。2002年から2016年5月までの廃校の状況を調査したもので、有難いことに活用状況まで載っている。

この調査によると、2002~2015年の間に発生した廃校数は6811校で、大半は小学校。地域別に見ると北海道が688校、次いで東京285校、岩手251校となっている。

年別に見ると毎年おおよそ400~500校が廃校となっており、ここ数年で急増しているわけではないが、確実に廃校化が進んでいるといったところだろう。

廃校
廃校

食品の製造や加工の場として利用されている例はそれほど多くないのだが、酪農工場やミネラルウォーターのプラント、シイタケ栽培工場、醸造所(醸造蔵もある)など、なかなか学校(厳密には元学校だが)とはイメージが結びつかないユニークな事例もある。

そんな中、なぜか複数の事例があるのが「アワビ養殖場」だ。他の事例ももちろん何例かあるのだが、アワビ養殖場の事例はざっと見ただけで全国各地に4~5例存在する。廃校で養殖されたアワビはすごくおいしくなるとか、なにかアワビならではの理由があるのだろうか。

Jタウンネットが、2017年10月から鹿児島県南さつま市で廃校でのアワビ養殖に取り組む企業、鹿児島水産センターに取材を行ったところ、担当者は「もともと廃校を利用しようと考えていた」と話してくれた。

廃校を利用することで、同規模の施設を新たに立てるよりもコストが抑えられるためかとも考えたが、担当者はむしろ地域貢献の意味合いが大きかったと話す。

「この地域には廃校がかなりたくさんあるので、事業を展開する上で是非とも活用させていただこうという考えは最初からありました」

もちろん、それだけが理由ではない。既存の施設を使用してアワビ養殖をする際、廃校がその他の施設に比べて選びやすい理由が、いくつかあるという。

まず、アワビの陸上養殖では海との距離があまり関係ない。海水は利用するのだが、アワビを入れた養殖槽に注ぐ前に海水を一度濾過する必要があり、どちらによせ直に海水は使えず、汲み取る必要がある。もちろん、輸送コストとの兼ね合いもあるが、海の目の前の廃校でなければいけない、ということはない。

次に、アワビ養殖は温度16~18℃に保つ必要があり、夏や冬は冷暖房設備が不可欠となる。廃校は教室など一定の広さがありつつもある程度区切られた空間があり、廃工場などを利用するより冷暖房設備の設置、温度管理がしやすい。

「養殖場として改修を行う際は、すでに先行事例として秋田の廃校でアワビ養殖を行っている企業に協力していただき、指導もお願いしました。ノウハウが共有しやすいというのも理由になるかもしれません」

高価な海産物であるアワビ養殖に取り組みたいという地方の事情、使いやすい施設としての廃校の存在、それぞれの事情がうまく組み合わさった事例が、アワビ養殖ということだろうか。

Jタウンネットでも廃校を活用した事業に乗り出せないものか――、と活用募集中の廃校一覧を見てみたが、残念ながら近場となる東京はなかった。ならば、どこか地方の廃校をお借りして、サテライト編集部設置。問題は誰が赴任するかだが......。

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