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なぜ神戸はJAZZの街? 「関西ジャズマップ」を作った、カーオーディオメーカーに聞いた

松葉 純一

松葉 純一

2018.05.12 20:00
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「関西ジャズマップ」表紙(画像提供:株式会社デンソーテン)
「関西ジャズマップ」表紙(画像提供:株式会社デンソーテン)

神戸市にある自動車用電子機器メーカー「デンソーテン」が制作・配布している小冊子「関西ジャズマップ」が話題となっている。

デンソーテンは2006年に音楽情報サイト「KOBEjazz.jp」を開設した。これまでに関西・東京などの130店以上の探訪記、多数のミュージシャンのインタビュー、コンサート情報など興味深い記事を掲載している。

「関西ジャズマップ」は、この「KOBEjazz.jp」で蓄積された情報をもとに、関西のジャズスポット84店舗をマップに掲載し、携帯に便利な小冊子として作成した。神戸市内の観光案内所や掲載店舗などで配布されている。

Jタウンネット編集部は神戸に電話して話を聞いてみることにした。

「ジャズを通じて神戸の街を盛り上げたい」

「KOBEjazz.jp」トップページより
「KOBEjazz.jp」トップページより

電話で答えてくれたのは、「デンソーテン」コーポレートコミュニケーション室の江川雅裕さんだった。

まず、2006年に開設されたジャズサイト「KOBEjazz.jp」のきっかけと狙いを聞いてみた。

「当社は神戸に本拠を置き、車載の音響機器メーカーとして事業を行ってまいりました。そこで、地元神戸のために"音"を通じて、何か貢献できないかと考えました。神戸はジャズ発祥の地と言われておりましたので、ジャズを通じて神戸の街を盛り上げるお役立ちになればと想い開設しました。
また当社では学生ビッグバンドイベントや学生ジャズイベントへの協賛などを行って来ました。協賛の対価として広告を出すだけでなく、イベントの取材レポートを掲載する媒体として活用できないか、とも考えました。ジャズは年配の音楽と思われがちですが、学生などの若い方々も盛んにジャズに取り組んでいることを理解いただきたいと思います。
『KOBEjazz.jp』を見ていただいて、一人でも多くの方がコンサートやライブに足を運んでいただき、ジャズの生演奏の持つ迫力や素晴らしさを感じていただければと考えています」

「関西ジャズマップ」の前、2012年には「ジャズの街 神戸ガイド」を発刊したとのこと。当時の狙いは何だったのだろうか?

「当時、神戸ハーバーランドで学生が企画・運営するジャズイベントがあり、当社も協賛しておりました。学生から、神戸のジャズスポットを対外的にPRしたいという意見をいただき、ジャズサイトのジャズ探訪記というコーナーの情報をマップ化し、イベントで配布させていただきました。現在のような冊子ではなく、A3用紙を折りたたむ形式でした」

今回の「関西ジャズマップ」で、地域を近畿圏に拡大した理由を聞くと、

「サイトで紹介しているお店の数が増えたこと、ジャズマップを通じて、関西地域の皆様に当社が運営するKOBEjazz.jpを知っていただきたいと考えました」と江川さん。

1923年、神戸でジャズバンドを結成したのは?

マップ掲載の84店舗のうち、神戸市とその周辺で45店掲載されている。約半数が神戸だ。神戸にジャズの店が多いのはなぜだろう? 聞いてみると......。

「神戸は港町で栄えた街で、これまで外国からの文化流入も多分にあったこともあり、歴史的にもジャズ発祥の地と言われています。外国人の居留地などもあり、昔からジャズが身近にあったため、お店が増えたというのはあるかもしれません」

神戸の街とジャズの歴史についてもっと知りたいとJタウンネット記者が聞くと、江川さんは「ここが参考になるかもしれませんよ」と、「ジャズの街神戸」推進協議会が運営するサイト「JAZZ TOWN KOBE」を推薦してくれた。その中の「神戸とJAZZの歴史」というコーナーによると......

1923年(大正12年)、宝塚少女歌劇団オーケストラを退団した「井田一郎」という人物が楽団仲間と結成した「ラフィング・スターズ」が、日本人初のプロのジャズバンドとされている。彼らは神戸オリエンタルホテルをはじめ、神戸・大阪のホテルや倶楽部でジャズを演奏したという。その頃のジャズはあくまでもダンス音楽で、当初は外国人居留地の倶楽部や高級ホテル内のホールで、やがて阪神間に多数開店したダンスホールで演奏するようになり、人気を博したようだ。

「東京のジャズガイドマップ制作も検討......」

ところで「KOBEjazz.jp」内の連載企画「ジャズ探訪記」の取材は、どのくらいの頻度で、どのように進めているのだろうか?

 

「月1回のペースで更新し、関西・関東を交互に紹介しています。取材については、お店のHPやtwitter等で情報収集を行い、取材交渉含めて、デンソーテンで行っています」と江川さん。

なるほど、自動車用電子機器メーカーという企業の中に、ウェブ編集部が存在しているわけだ。「ジャズ探訪記」の取材にはすべて同行しているという江川さんに、とくに印象に残っている店を教えてほしいと聞いてみたが、「私たちはあくまでニュートラルにサイトを運営していますので、具体的な個別のお店のお話はご遠慮させてください」とのことだった。残念!

今後、「ジャズ探訪記」に東京や首都圏の店の取材を増やして、「関東ジャズマップ」制作の構想はあるのか、聞いてみた。

「過去にリーフレットサイズで東京のジャズマップを制作したことがあります。当社の協賛イベント等で配布していました。掲載しているお店の数も増えて来ていますので、東京のジャズガイドマップ制作も検討しています」

関東のジャズファンはもうしばらく待っていることにしよう。

今回の「関西ジャズマップ」の反響についても聞いてみた。読者にどのように利用されているのだろうか?

「掲載店舗によっては、早々になくなったため、送付して欲しいなどのご意見もいただいており、大変好評を得ています。お店の方にもお伝えしているのですが、単なるジャズマップではなく、サイン欄を設けていますので、ジャズマップを見て、実際に行ったお店でミュージシャンとの交流の記念にしてもらえればと思っています」
「関西ジャズマップ」中面(写真はJタウンネット編集部撮影)
「関西ジャズマップ」中面(写真はJタウンネット編集部撮影)

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