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「青森県民が塩分摂取量過多なのは、ラーメンのスープを飲み干すから」って本当?

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.04.11 20:00
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県民性を極端に描きすぎている?

青森に限らず、地域的な特徴として、塩分濃度が「西低東高」となっていることは有名な話だ(出汁がきいているとか、コクがあるなどの意味での濃さではない)。

厚労省が毎年実施している「国民健康・栄養調査」の都道府県別食塩摂取量でも、関東・北陸・東北にかけて摂取量が高くなる傾向にある。

食文化の観点から考えると、塩分を摂取することで体温を維持してきた、冬の間長期間食糧を保存するために塩漬けや干物が一般的だった、といった要因から、東北などの寒冷地では塩が多めの味付けや食品が食べられてきた、とされる。

こうして塩分量が多めの食事に慣れ親しんできた(?)ことで、北国では今でも塩分摂取量が多い傾向にあることはわかるのだが、青森での実態はどうなのだろうか。

冒頭で述べたとおり、なぜかラーメンに関する言説をよく見かけるので、今回はラーメンを主体に読み解いてみよう。

ラーメンのスープを飲み切るのが当たり前?(写真はイメージ)
ラーメンのスープを飲み切るのが当たり前?(写真はイメージ)

まず、「青森県民はラーメンをよく食べる」という話だ。総務省が行っている統計調査「家計調査」では、2人以上の世帯の消費支出に占める各種食品の割合を見ることができる。これによると、確かに青森県はラーメンの購入額が高く、カップめん、生めん、即席めんといずれもトップ3に食い込んでいる。

青森県統計分析課が2014年に発表している「青森の人が日本一食べているものは何?」によると、ラーメン購入額が高い理由について

「県民所得が低いことから、価格の安い食品で食費を抑えている」
「冬期間は積雪で外出が億劫になるため、家庭で保存がきくカップめんを買いだめする」
「カップめんの県内小売店での平均販売単価が全国でも1、2位の安さに加え、セールが多い」
「屋外でご飯を食べる機会が多い第一次産業に従事する人の割合が高い」

などが考えられるとされている。ただし、これらは購入額の統計であって、よく食べているかどうかを示す確たる根拠になるわけではない。

ちなみに外食でのラーメン購入額は例年15~20位程度とあまり高くはないのだが、外食全体の金額が全国で最も低い部類なので、逆に外でラーメンを食べる頻度は高い可能性はある。

統計値から想像を重ねても仕方ないので、Jタウンネットは青森県内で県民健康調査や減塩運動に取り組む健康福祉部のがん・生活習慣病対策課に取材を行った。本当に青森ではラーメンが塩分の主要な摂取源なのだろうか。

「確かにカップめんや即席めんなど、ラーメンの購入量が多いことは事実です。しかし、そのことと塩分摂取量に関係があるというエビデンスはなく、県として『ラーメンによって塩分過多になっている』などと指摘したり、公表したこともありません」

答えてくれた担当者によると。塩分の主要な摂取源が何なのかという調査を行ったことはなく、あくまで食事全体に占める食塩の割合が高い、ということを把握し、それをいかに減らすかという観点から減塩に取り組んでいるという。

「食習慣は個人によって大きく異なりますし、そもそも塩分はあらゆる食品に含まれているもので、厳密に『これとこれが塩分摂取源』などと特定はできません。仮にラーメンだけを減らしても、県全体の塩分摂取量が大幅に減少することはないでしょう」

では、青森の塩分摂取量にラーメンが大きく影響しているかのような情報をよく見かけるのはなぜなのだろうか。

「『朝からラーメン』『とても塩辛いラーメンを食べている』『スープを飲み干す』など、一部の人に見られる極端な習慣が、なぜか県民性であるかのように伝えられていることが、原因ではないでしょうか。統計値にしても平均であり、県民全ての傾向を示しているわけではないのですが」

他県にはない特徴的な部分を切り取って、県民性としておもしろおかしく伝えることはよくあるが、青森県のラーメンは、それが独り歩きしすぎてしまっているのかもしれない。

青森に縁もゆかりもない記者には、リアルな青森のラーメン事情は分からないのだが、青森在住の読者からの意見を、ぜひ聞いてみたいところだ。

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