東京23区内に「廃線跡」があった! 東京都港湾局深川線の痕跡をたどる
つい先日、豊洲駅付近に用事があったJタウンネット記者が、東西線・木場駅から豊洲まで歩いていた時のこと。
鴎橋(かもめばし、江東区塩浜2丁目)手前に差し掛かったところで、歩道横にある柵の中をふと見ると、電車の線路跡らしきものを見つけた。
だが、途中で切れており、「廃線」なのは明らかだ。では、いったいこれは何線だったのか。調べてみることにした。
1953年開業、1986年廃線
この線路は、東京都港湾局・深川線の廃線跡。
そこでJタウンネットは、東京都港湾局に同線の歴史などについて2018年3月16日、聞いてみた。
同局によると、深川線は1953年に開業、1986年に廃線。
当時豊洲にあったという電気・ガスを発電するエネルギー基地に鋼材、石炭、コークスを運搬するために使われていた、運搬専用の路線だった。
複数連結された、トラックの荷台のような貨物車両に積んで運行していたという。
全長16.147キロで、うち8.122キロを民間4社が、残り8.026キロを東京都が敷いた。
駅は「越中島駅」だけで、現在の塩浜2丁目付近にあったとのことだ。
なお、この「越中島駅」は、現存するJR京葉線の越中島駅(江東区越中島2丁目)とは別物で、現在の越中島貨物駅にあたる。ここから分岐させ、豊洲埠頭まで延伸していた。
廃線した理由は、2つある。
物流手段が鉄道からトラックへと変わったこと、石炭が使われなくなったことからエネルギー基地が閉鎖されたことだとしている。
当時を知る人は...
3月19日13時半過ぎ、記者は再度現地を訪れた。
運行していた当時を知る人はいないのか、探してみる。
柵の目の前を通り過ぎた、40代と思われる男性は指を差しながら「これ貨物線の?」という反応があったため、何か知っているのかと思い、詳細を説明すると「知らないなぁ」という答えが返ってきた。
また、線路の敷地横に立つマンション前で掃除をしていた70代らしき男性は「このマンション自体、出来たのは17年前。私も住民も知る人はいないよ」とのことで、付近にいた人で当時を知る人はいなかった。