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「大正生まれの除雪車」昼夜を問わず奮闘! 福井鉄道「デキ11」、御年95歳

野口 博之

野口 博之

2018.02.14 20:00
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北陸地方を襲った大雪で、福井市内の福井鉄道で、大正生まれの除雪車「デキ11」が度々出動している。

今となっては珍しい電気機関車だけに、ネット上でも、注目を浴びている。

この大雪で、深夜ばかりでなく、日中にも出動

青緑色の車体がサラサラと雪を掻き出しながら、雪の降りしきる夜の街中を走っていく。車体の前後には、黄色い排雪板があり、それで軌道上に積もった雪を排出しているわけだ。

大正生まれの除雪車「デキ11」(まもさん撮影、Wikimedia Commonsから)
大正生まれの除雪車「デキ11」(まもさん撮影、Wikimedia Commonsから)

丸いヘッドライトの下には、白字で「11」の番号が入っているのが見える。側面には、「デキ11」と同じ白字で入っており、ネームがなんとも誇らしげだ。

これは、ユーチューブに3年前に投稿された動画のシーンだ。

除雪車は通常、深夜から未明にかけて出動する。しかし、2018年はこの大雪で、早めの運行再開を目指して、日中にもデキ11の出番が回ってくるような非常に珍しい状況だ。

2018年2月13日は、前日からの電車運休を受けて、日中の午後に市内の赤十字前駅から田原町駅間を約1時間かけて往復し、軌道上の除雪に活躍した。

「大正時代のものがまだ走ってんだw」「モーターとかよく動くな、丈夫なもんなの?」「そりゃレアだな」

この日に出動した様子が新聞報道されると、ネット掲示板では、こんな声が次々に書き込まれた。

福井新聞の2014年3月9日付記事によると、デキ11は1923(大正12)年、前身の福武電鉄開業に合わせて電動貨車「デワ1」として製造された。一時は、廃車の危機もあったが、79年に電動機増設などの改造を受けて電気機関車に車種を変更し、車番が現在の「デキ11」に変わった。

「モーターが4つもあり、除雪能力が優れている」

除雪車は、軌道上の積雪が10~15センチを越えると出番が来るが、2017年は、雪が少なくて、デキ11の出番がなかった。

ところが、18年冬は、自衛隊も出動するほどの大雪となり、福井鉄道の車両工場担当者にJタウンネットが2月14日に聞いたところによると、デキ11は、1月12日から計約20回も出動している。

出動初日も、普通電車などが立ち往生して日中に出動したが、正午過ぎにデキ11が脱線してしまった。福井新聞の報道によると、軌道上に数十センチあった積雪が原因とみられている。

それでも、福井鉄道にはデキ11を含めて除雪車が2台しかなく、デキ11は、多いときは、1日に5往復もするほどフル回転した。「雪が多すぎて、出動できなかった日もありますね」と担当者は苦笑する。

95歳にもなるデキ11が未だに現役を続けている理由について、担当者はこう説明した。

「車体が軽いので危ない面もあるのですが、モーターが4つも付いており、除雪能力が優れています。それなりに働きますので、『使えるものは使いましょう』と整備をして出動させている状況ですね」

大雪で軌道上には、1メートル40センチ以上も雪が積もることもあったが、デキ11の活躍などもあって、2月14日は、本数を減らしながらも電車が運行した。

ただ、デキ11は、老朽化して寿命が近づいており、もうなかなかその雄姿を見る機会はないかもしれないそうだ。

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