「生きた化石の赤ちゃん」に期待! パラオオウムガイ、鳥羽水族館をゆらゆら泳ぐ
三重県鳥羽市にある鳥羽水族館で、パラオオウムガイ6匹が展示され、話題となっている。
オウムガイはタコやイカと同じ頭足類という動物だが、殻に入った独特な形をしている。その祖先は4億5000万年から5億年前に誕生し、それからほとんど進化していないとされ、「生きた化石」と呼ばれる。南太平洋からオーストラリア近海に生息し、水深約100~600メートルに棲息している。
鳥羽水族館のパラオオウムガイは、2017年9月、ミクロネシア地域のパラオ諸島で捕獲され、10月から展示されている。
Jタウンネット編集部は鳥羽水族館に電話して、パラオオウムガイについて話を聞いてみることにした。
ゆらゆら揺りかごに乗っているような...
電話で答えてくれたのは、飼育研究部の森滝丈也さんだった。
「オウムガイにもいろいろ種類があり、5種類ほどありますが、なかでもパラオオウムガイはサイズが大きいのが特徴です。普通のオウムガイは15センチ程度ですが、パラオは20数センチあります」と森滝さんは語る。
森滝さんは鳥羽水族館で20年以上勤務しているベテラン。普通のオウムガイの飼育は熟練しているが、パラオオウムガイは今回が初めてだ。
「口の中の歯や舌の形状が少し違いますが、全体的にはあまり違いません。殻の模様も似ています。多少ですが、色が薄いかもしれません」
「イカやタコと同じように、漏斗(ろうと)と呼ばれる器官から水を噴き出して、その推進力で動きます。しかし俊敏に動くことはできず、ゆらゆら体を揺すりながらゆっくりと動きます。水槽の中で、まるで揺りかごに乗っているように動いている様子がかわいい、と言われることもあります」と森滝さん。
「ごくまれに水槽のガラスにくっついていることがあります。イカやタコと同じような口が見えるかもしれません。パラオオウムガイはクチバシのような顎板で餌をかじります。口の中にはヤスリのような歯舌があり、これでかじりとった餌を食べるわけです。食欲は旺盛で、エビなど餌を与えるとものすごいスピードで食べてしまいます」
ちなみに、普段なら摂氏16度ほどの水温を、今は約20度に上げているという。
「繁殖のためです。水温が少し上がると、繁殖行動が促進されます。既に繁殖行動も確認されていますので、もしかしたら産卵するかもしれません。孵化まで約1年かかるのですが、パラオオウムガイの赤ちゃんを早く見てみたいですね」
森滝飼育員は熱く語ってくれた。パラオオウムガイの赤ちゃん、ぜひ見てみたいものだ。