多くの文化人も旅立った「尾道駅旧駅舎」が取り壊しへ
新駅舎は来年夏完成予定
利用者からは、「初めて社会人になって来た場所なので、これから新生活が始まるというところですごく思い出深い」といった声や、「伝統があって、皆さんも歴史を感じられる所なので、私もそういう駅を毎日使えてよかったなと思っている」といった声が聞かれました。
旧駅舎は、1891年(明治24年)開業、その後増改築を繰り返してきました。尾道に居住した志賀直哉や林芙美子をはじめ、小泉八雲や菊池寛ら多くの文化人が利用したことが記録されているということです。
全面的な建て替えを控え、5月14日におこなわれた旧駅舎とのお別れイベント「ありがとう尾道駅舎」。参加者は125年を超える歴史を感じながら、慣れ親しんだ駅舎との思い出をかみしめました。
JR尾道駅の片岡茂樹駅長は、「私も入社時はこちらで駅員をしておりました。それからしばらくたって、駅長としてこの駅に赴任し、建て替えという大プロジェクトを進めてまいりました。ついに、この瞬間が来たかなと思います」といわれていました。24時7分発糸崎行きを定刻通り送り出し、旧駅舎はその役目を終えました。
終電の利用者は「学生の頃も使っていた駅なので、今は思い出にひたれたらなと」と感慨深げでした。JR尾道駅は仮駅舎で営業し、新しい駅舎は来年夏に完成の予定です。
寂しくもありますが、尾道の新しい歴史が、新たな駅から刻まれていくのが楽しみですね。(ライター・石田こよみ)