洗剤は「野菜・果物」にも使えるのか? 花王にその真相を聞いてみた
薄めた上での使用を推奨
洗剤で洗えるのは食器のみ、という認識は世代によっては広く浸透しており、筆者もその一人だった。
公式サイトにも、そしてパッケージにも用途として表記されており、その順番は確かに食器よりも上だ。
このことに関して、「ファミリー」や「キュキュット」などの台所用洗剤を扱う花王に取材したところ、これには「歴史的背景」があるとの返答が。
担当者は、
「昔の野菜は泥が付着していたことがあったため、それらをきれいに洗い落としたいという需要から、台所用洗剤は野菜や果物を洗える中性を採用しております」
と語った。
現在でも同様の需要があるため、花王の「ファミリー」と「キュキュット」はどちらも中性洗剤のまま。野菜と果物の洗浄にも使うことが可能だ。
また、石鹸や洗剤メーカーなどが構成する「日本石鹸洗剤工業会」のサイトには、
「当時は、野菜や果物についた回虫の卵や農薬なども、台所用洗剤で洗えばきれいになり安心できるという、食生活の衛生上からの役割も大きかったのです。」
「野菜果物も洗えるという従来の中性の商品特性を捨ててしまった商品もあえて加えたのは、一般家庭ではそのニーズが廃れたことがあります。昔のように野菜果物の回虫の卵を心配する必要もなく、台所用洗剤で野菜果物を洗えるということをわかっている人、必要と思う人が減ったのも、時代の変化というものでしょう。なお、業務用では食品の洗浄に中性洗剤は広く使われています。」
との記述があり、洗剤が中性の理由と、弱アルカリ性や弱酸性の台頭の経緯に触れられている。
かつてとは状況が異なるため、洗剤が野菜・果物の洗浄に使えるということを多くの人が忘れていったのだ。
しかし、野菜や果物を洗うのに使えるからと言って、どんな食品に対してもOKとはいかない。
「お米洗ってと頼んだら洗剤で洗い始めた」というような笑い話があるが、米は洗える食材の範囲の外で、
「お米を洗うことは想定外ですね......」
とのこと。米を研ぐときは水を使おう。
また、野菜を洗う場合でも、花王では洗剤0.75mlに対して水1リットルで希釈することを推奨している。