ココからあなたの
都道府県を選択!
全国
猛者
自販機
家族
グルメ
あの時はありがとう
マンガ

はだしのゲン作者描く『広島カープ誕生物語』は、今だから読みたい名作!

竹内 翔

竹内 翔

2016.09.12 17:00
0

優勝したら結婚式を...で40代に

もちろん、いい話も満載である。むしろ、そちらが本題だ。

資金難に苦しみ、解散の危機に立たされたカープを救うため、ファンたちがなけなしのお金を集めた、いわゆる「樽募金」の逸話。移籍が伝えられた選手を引き戻すための猛説得。市民を挙げての新選手の歓迎。まさに「市民球団」カープの姿が、生き生きと描かれている。

物語の舞台となるのは終戦直後から、1975年のセ・リーグ初優勝まで。この間、広島は焼け跡から発展を続け、終盤には立派な市民球場も誕生、そして中心街にはビルが建ち並ぶ。原爆孤児だった主人公も、物語ラストには40代。「カープが優勝したら結婚式を挙げよう」と約束した妻と、ようやく晴れの日を迎え、「カープ誕生物語」は幕となる。

そう、この作品のメインテーマは、『はだしのゲン』で触れられなかった広島の「その後」でもあるのだ。合わせて読むと、なお感慨深い。

1994年に刊行された汐文社版は入手が困難だが、2014年には復刻版が出ており、またKindleストアで電子書籍版も配信されている。1600円とちょっと高いが、おススメの一冊である。

PAGETOP