「自動改札で引っかかるのは女ばかり」説は本当? 新宿駅で1000人調査した結果...
先日、2ちゃんねるにこんなスレッドが立っていた。
「女はいつも、自動改札の直前になってようやく定期(ICカード)を探し出して、流れを滞らせる。マジ許せない」(意訳)
編集部のAくんに「そんなものかな?」と聞いてみると、「確かに、自動改札機がピンポーンってなってるのって、女性が多いイメージありますよね」という答えだ。
でも男も結構引っかかってない?
ツイッターを見ても、
女のムカつく瞬間あるある
改札の真ん前で鞄ゴソゴソ
— 年が明けたひろ (@rad0717) 2016, 1月 4
なんで女という生き物は立て続けに自動改札機を赤く怒らせるのか。。
— 福猫般天 (@Fukuneko_Lab) 2015, 12月 22
もうカギもそうだし、改札のカードもそう。
なんで女って一手先が読めないの?だいたいカバンの中ゴソゴソやってるのって女!
— 誰でもいいじゃん (@uratpack) 2016, 1月 7
といったつぶやきが多数見つかる。「女性の方が、カードを取り出すのが遅く、改札に引っかかりやすい」という説は、「あるある」ネタになるくらいには浸透しているようだ。
だが、それは本当だろうか。男だって、結構引っかかってるんじゃないだろうか。何を隠そう、この文章を書いている記者(男・29歳)も、定期をポケットから出し損ねて、改札で通せんぼを喰らって、周囲から白い目で見られることが2カ月に1回くらいはあるのだ。
こうなれば、実際に引っかかっている人の男女比を調べてみるしかあるまい。というわけで、Jタウン探検隊はJR新宿駅に向かった。
カチカチするヤツの名前をまずググった(実話)
今回、用意したのはこちらである。
そう、交通量調査の人がよくカチカチしている、銀色のアレだ。
これとスマートフォンのカウンターアプリを装備し、記者は西口改札前に立った。
世界最大級のステーションである新宿駅では、改札を通過するすべての人を目視するのはとてもじゃないが不可能だ。そこで、ICカード専用の改札機2台に狙いをしぼり、ここを通る人1000人のうち、何人がカードを取り出すのにまごつくのか、そしてそのうち女性はどれくらいの割合か、をチェックすることにした。
とりあえず今回は基準として、
(1)改札内、あるいは改札の至近距離まで来て、まだカードが取り出せておらず、立ち止まった人をカウントする。
(2)改札機が「ピンポーン」状態になったかどうかは問わない。
(3)荷物がぶつかる、タッチミス、残金不足など、別の原因で引っかかった人は対象外とする。
という条件を設けた。
約45分間ひたすらカチカチ
ということで1月某日、時刻は昼下がり、調査開始。
カチカチカチ......。
カチカチカチカチ......。
カチカチカチカチカチカチ......。
10分経過したあたりで気づく。うん、わかってはいたけど、思った以上に面倒くさい。これは。
とにかくひたすらやってくる人を左手のカチカチで数え続け、引っかからないかどうか目を光らせ続ける。引っかかったら右手のスマホで、男女別にカウントする。
ただただ単純作業であり、それでいて人の流れが途絶えない限り気を休めることもできない。今までやってきた取材の中でも屈指のハードさである。何が悲しくて、僕はこんなことをしているのだろう。駅の中と言ったって、足元は冷たい。そろそろ駅員さんにも、不審者扱いされている気がする。
だがこうして立っていると、いろいろ「引っかかる」パターンが見えてきた。
荷物で一杯らしいハンドバッグから長財布を取り出そうとして、うまくいかない若い女性。
タイトなスーツの内ポケットから定期入れを出そうとするも、ぴっちりしすぎて引っかかる中年男性。
2人仲良く通過しようとして、彼女の方だけ間に合わなかった若いカップル。
上司は無事入れたのに1人取り残されてしまい「先に行ってください!」と叫ぶビジネスマン。
エトセトラ、エトセトラ......。思ったより、引っかかる人が多いことになぜだかほっとする。
かくして、計測は約45分間に及んだ。
で、具体的な男女比は?
さて、結果発表だ。1003人分の利用客のうち、カードを出し損ねたのは――。
女性、5人。
男性、7人。
なんと、男性の方が引っかかった人数が多かったのである。
もちろん、利用客の男女比(感覚的には、男性がやや多かった気がする)までは調べられていないので、この結果だけでは「男の方が引っかかりやすい」とは言えまい。だが少なくとも「女ばかりが引っかかる」という説は、声を大にして否定したい。
原因はどこにあるのだろうか。45分間観察していた限りでは、男性の多くが定期入れをポケットに突っこんでおり、特に細身のスーツなどだと取り出すのに難儀しがちだった。対して女性にはハンドバッグに収納している人が目立つ。こうしたバッグには底にパスケース入れが付いているものも多く、そのままタッチして改札通過が可能だ。
このあたりのアドバンテージが、女性有利の結果を招いたのかもしれない。
それにしても、男女合わせれば100人に1人は改札で引っかかっているのである。今後うっかり記者が「ピンポーン」させてしまっても、あまり邪険にしないでください。