客「お通しいらない」→居酒屋はどう対応する? 大手各店に「禁断の質問」をぶつけた
個人経営の店舗から大手チェーンまで、居酒屋という業態ならばほぼ必ず出される「お通し」(突き出し)。何の確認もなく出てくることも多いこのお通しを巡って、たびたび議論の的になるのが「お通しはいる?いらない?」という問題だ。
「注文していない料理で金を取られるのはおかしい」
「いや、お通しは『席料』につくサービスみたいなものだから」
「じゃあ、苦手な料理や食べられないモノが出たらどうするんだよ」
「そもそもお通しって、店からの心遣いじゃないの?」
などと、ネット上の意見も必要派・不要派にハッキリと分かれている。その是非はひとまず置いておくとして、単純に気になるのは「そもそも、居酒屋でお通しを断れるの?」という疑問だ。
「お通しカット?余裕でOKですよ」と答えたのは...
そこでJタウンネット編集部では、主要な居酒屋チェーンを運営する各社に「お通しカット」が可能かどうかを問い合わせてみた。その結果をまとめたのが、以下の図表になる。
今回の調査に当たって、極めて歯切れの良い回答を頂いたのは、「コロワイドMD」と「マルシェ」、「ワタミ」の3社だ。甘太郎やNIJYU-MARUを展開するコロワイドMDは、「もちろん、お通しが不要だというお客様には、そのように対応いたします」という。加えて、食事のみの場合はお通しを提供しないそうだ。
居心伝や酔虎伝などを展開するマルシェは、数種類のお通しの中から好きなもの1つを客が選択する形式を採用している。そのため、用意されたお通しの中に気に入るものが無ければ問題なくカットすることができるという。
ワタミは、「和民」、「坐・和民」、「わたみん家」の全店で、お通しカットに対応していると答えた。
居酒屋と「お通し」のフクザツな関係も見えてきた
だが、上記の3社はあくまで例外のようだ。細かい表現こそ違えど、今回取材を試みた十数社のうち大部分が、
「従来からの商慣習として、お通しは基本的にはお出しするものだと考えております」
と答えている。
その上で、「お客様の希望があれば、対応します」というのが「チムニー」、「大庄」の2社。いずれも、入店して席に着いた後、店員に「お通しカット」の旨を伝えれば対応してくれるそうだ。
一方で、「基本的に、お通しカットには対応していません」と答えたのは「養老乃瀧」。ただ、居酒屋形態の店舗であっても「アルコールを注文しない人」に対しては、原則としてお通しの提供は行わないという。また、「つぼ八」は食品アレルギーなどといった例外的な場合に限って、対応が可能だと語った。
そうはいっても、どんな居酒屋も客に「お通し」を注文して貰いたいというのは事実。上述したマルシェの選択制をはじめ、お通しのクォリティーを向上する取り組みを行う居酒屋も多いようだ。
また、今回の調査にあたっては、モンテローザをはじめ回答を差し控えるという所も多かった。やはり、簡単には答えにくい問題であることも確かなようだ。名前は明かせないが、某企業の関係者は「お通し制度は、居酒屋にとって非常に複雑な問題なんですよね...」と明かした。
「ここで私どもが、『お通しを断ることは可能です』とお答えすれば、それは業界全体に大きな影響を与える可能性があります。仮にお通しをカットする風潮が定着すれば、売上にある程度の打撃を与えることは否定できませんから。そのため、弊社だけの判断で簡単に答えることはできないんですよ」