客「お通しいらない」→居酒屋はどう対応する? 大手各店に「禁断の質問」をぶつけた
居酒屋と「お通し」のフクザツな関係も見えてきた
だが、上記の3社はあくまで例外のようだ。細かい表現こそ違えど、今回取材を試みた十数社のうち大部分が、
「従来からの商慣習として、お通しは基本的にはお出しするものだと考えております」
と答えている。
その上で、「お客様の希望があれば、対応します」というのが「チムニー」、「大庄」の2社。いずれも、入店して席に着いた後、店員に「お通しカット」の旨を伝えれば対応してくれるそうだ。
一方で、「基本的に、お通しカットには対応していません」と答えたのは「養老乃瀧」。ただ、居酒屋形態の店舗であっても「アルコールを注文しない人」に対しては、原則としてお通しの提供は行わないという。また、「つぼ八」は食品アレルギーなどといった例外的な場合に限って、対応が可能だと語った。
そうはいっても、どんな居酒屋も客に「お通し」を注文して貰いたいというのは事実。上述したマルシェの選択制をはじめ、お通しのクォリティーを向上する取り組みを行う居酒屋も多いようだ。
また、今回の調査にあたっては、モンテローザをはじめ回答を差し控えるという所も多かった。やはり、簡単には答えにくい問題であることも確かなようだ。名前は明かせないが、某企業の関係者は「お通し制度は、居酒屋にとって非常に複雑な問題なんですよね...」と明かした。
「ここで私どもが、『お通しを断ることは可能です』とお答えすれば、それは業界全体に大きな影響を与える可能性があります。仮にお通しをカットする風潮が定着すれば、売上にある程度の打撃を与えることは否定できませんから。そのため、弊社だけの判断で簡単に答えることはできないんですよ」