「『うらおもて』でチームを分けよう」「え、グー・パーじゃなくて?」...その知られざるルーツを探った
「うらおもて」という、じゃんけんに似た手遊びをご存じだろうか。
「うらおもてあ~えば!」などといった掛け声とともに手を開いて出し、その表裏で多人数を2組に分ける手遊び――。そう説明すると、少々ややこしい印象を受けてしまうが、「グーとパー」の類種といえば、すぐにピンとくる読者も多いだろう。子どもの頃、鬼ごっこやドッジボールの前にやっていた、あのチームを分ける方法の一つである。
「うらおもて」のルーツは、東南アジアにある!?
全国的にみると、やはり多くの地域で「グーとパー」が使われているようだが、「うらおもて」が圧倒的な支持を集めている地域もあるようだ。ツイッターにも、各地のユーザーから様々な意見が寄せられている。
グーとパーで分かれる遊びってなにそれ...うらおもてしかやらないぞ...!
— あま (@amagomori) 2011, 9月 2
う?らおもてが全国区じゃないなんて全く信じられず、他県出身者にやってみせたら「何それ?」との反応。どうやって2つグループ分けするの? #宮城あるある
— おみ (@mio7334) 2013, 6月 8
グーとパーで分かれる文化がなかったよ...うらおもてしかやったことない...
— あい@燃え尽き (@ai_oxk) 2014, 12月 22
投稿者の傾向を分析してみると、どうやら「長崎」「兵庫(神戸市)」「宮城」の3地域でメジャーなものらしい。東北から九州まで、局地的に流行している印象を受ける。いったい、なぜ一部の地域でだけ、この手遊びが広まったのだろうか。
日本レクリエーション協会理事で、じゃんけんなど手を使った遊びに詳しい宇田川光雄さんに話を聞いた。
宇田川さんによれば、「東南アジアの子どもたちの遊び」というユネスコが発行した資料に、「うらおもて」に似た手遊びの記載があるという。「UP OR DOWN」というパキスタンの遊びで、3人が合図と同時に手を出して、手の向きがちがう1人が勝つというルールだ。
さらに宇田川さんは、パキスタンに似た遊びが存在している点と、日本での流行地の分布を鑑みて、「海洋地域限定で流行している『うらおもて』は、パキスタンの『UP OR DOWN』という遊びが貿易などの人の行き来を通じて、日本に入ってきたものではないか」と推測している。それが形を変えて広まり、現在でも残っているというのだ。
確かに、長崎や兵庫(神戸)、宮城はすべて外国船の出入が盛んな港町ばかり。そういった場所で「うらおもて」が広まっていることをみると、宇田川さんの推測は多いに頷ける。
(【投票中】「グー・パー」「グー・チョキ」「うらおもて」...チームを2つに分けるあの手遊び、どれだった?)