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荒川が決壊すれば...死者1000人、孤立者70万人!「東京壊滅」の悪夢はいつ起きてもおかしくない

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.09.11 17:00
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埼玉県秩父地方を源流とし、東京都東部を流れて東京湾に注ぐ荒川は、その名の通り「暴れ川」だ。たびたび氾濫を繰り返し、1742年8月の洪水時は、浅草が水深約2.1メートル、亀戸が約3.7メートルの水に漬かった。

国は過去のデータに基づき、上流にダムを造ったり、遊水池や水門を設けたり、堤防の高さと幅を大きくしたり、様々な治水事業を打っている。しかし、荒川には治水上の弱点となっている箇所=越水しやすい場所が残っている。さらに長雨で堤防の強度が弱まって崩れる可能性もある。

銀座周辺が水没した場合のCG(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)
銀座周辺が水没した場合のCG(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)

国交省制作の「荒川氾濫」は、荒川がもし決壊したら東京はこうなる――を描いたフィクションドキュメンタリーだ。

フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」(1/2)(YouTubeより)

この作品で想定されているのは、3日間で降水量550ミリを超える雨が荒川上流域で降り、都内の堤防が決壊するケースだ。このストーリーに沿って、もし荒川が決壊すれば、東京に何が起きるのかを紹介したい。

東京駅も水没、経済活動はストップ

――恐るべき事態がついに起きてしまった。ある日の明け方、北区の堤防が決壊し、大量の水が北区や荒川区、台東区などの隅田川西岸に流れ込んだのだ。

堤防を超えて東京の下町に流入する大量の水のCG(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)

堤防を超えて東京の下町に流入する大量の水のCG(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)

運命のいたずらか、大雨をもたらした巨大な台風は過ぎ去っていて、安心した市民は寝静まっていた。上流から大量の水が襲ってきていることを知らずに......。

決壊からわずか1時間足らずで町の様相は一変する。東京駅前もひざ上くらいまで浸水してしまう。さらに地下鉄のトンネルは水路となり、水は駅から駅へと流れ出る。地下鉄駅や地下街は一切立ち入り禁止の状態に陥る。
そして決壊場所に近いJR赤羽駅周辺の水深は、ゆうに2メートルを超えてしまった。

赤羽駅周辺のCG(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)

赤羽駅周辺のCG(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)

決壊から6時間。大量の水が東京メトロ千代田線町屋駅(荒川区)に到達する。水が一気に流れ込み、ホームはまるで下水道管の中のようになってしまった...。

地下鉄町屋駅のCG(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)

地下鉄町屋駅のCG(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)
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昼近くになると被害を受けた地域は板橋区や足立区にも広がり、各地の避難所はパニック状態に陥った。
恐怖の黙示録はまだ終わらない。決壊から12時間後、足立区北千住駅付近も、地下鉄のトンネルを通って水が流れ、浸水してしまった。

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ビジネス街の新橋駅周辺も一面水浸しだ。

新橋駅周辺のCG(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)

新橋駅周辺のCG(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)

死者数は約1000人、孤立者数は70万人。経済活動はマヒし、日本を揺るがす大災害となってしまった。
水が引くまでは2週間から1カ月かかり、それからようやく復興活動が本格化する。

治水上の弱点ってどこなの?

決壊場所とされたのは荒川の鉄道橋梁部分だ。この部分は、堤防が低くなっているのだ。
似たような箇所はほかにもある。荒川放水路に架かる京成本線の鉄道橋は、本来の堤防よりも低い位置を通っている。

この場所が決壊した場合、足立区・荒川区・台東区・北区・墨田区が水没すると見られ、死者数3718人、浸水戸数21万114戸、孤立者数31万8191人に達する恐れがある。

荒川放水路に架かる京成本線の鉄道橋(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)

荒川放水路に架かる京成本線の鉄道橋(フィクションドキュメンタリー「荒川氾濫」より)

なぜこのような弱点があるのか。それは一帯の地盤沈下が原因だ。堤防は低くなった分だけかさ上げされているが、戦前に作った橋梁部分はかさ上げできていない。

荒川の治水上の弱点(国交省サイト「京成本線荒川橋梁架替事業」より)

荒川の治水上の弱点(国交省関東地方整備局公式サイト「京成本線荒川橋梁架替事業」より)

現在、京成電鉄と国交省は橋の架け替えを進めている。

この動画では触れられていなかったが、他の自然災害が重なることで、洪水のリスクはさらに高まる。
その1つが噴火だ。1783年に浅間山は大噴火を起こし、大量の火山灰が流出した。利根川や荒川に大量の土砂が堆積し、河床が上昇したことで、洪水が激増してしまった。明治に入って実施された改修まで、この影響は続いたという。

鬼怒川の決壊からもわかるとおり、自然がもたらす猛威は私たちの想像を優に超え、「ありえない」「大丈夫だろう」は通用しない。東京に限らず、日ごろからの備えが重要だ。

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