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抗争・策略・失脚...登別の「ボス熊」たちの歴史は、人間顔負けの権力闘争だった

松葉 純一

松葉 純一

2015.09.04 17:00
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第20代目ボス「ダイキチ」(のぼりべつクマ牧場ウェブサイトより)
第20代目ボス「ダイキチ」(のぼりべつクマ牧場ウェブサイトより)

抗争は人間の世界だけではない。人気の観光地である北海道登別市「のぼりべつクマ牧場」の、歴代ボス熊を紹介する説明文がおもしろいと話題になっている。そこには、ボスとなった熊の性格や行動が簡潔にまとめられているが、その内容や表現が、なんとも......。

そのきっかけとなったのは、一つの写真付きツイートだった。

牧場も戦国の世と化した

2015年8月30日に投稿されたツイートは、次のようなものだ。

ここで取り上げられている10代目のボス「イッペイ」の説明文には、こう書かれている。

いつも虎視眈々として不意打ちの機会を狙い、後ろから陰険に争うという戦法でボスになったものの、小競り合いが絶えず、牧場も戦国の世と化した。

なるほど、ボスになるために、かなりのことをやったのだろうな、と思えてくる。激しい抗争が続いた挙句、約2年でその座を追われてしまったようだ。

また5代目のボス「ゴンタ」の説明文はこうだ。

気が優しかったせいか、1年で交替となってしまった。

やはり優しいばかりでは、ダメなんだな......などと、どこかの世界と比べて、読んでしまう人もいる。

ボスの条件は?

実は、この歴代ボスの説明文は、同牧場ウェブサイトにも掲載されている。

その中には、初代ボスの「タロウ」から、現在の第20代目ボス「ダイキチ」まで、ずらりと紹介されている。

4代目ボス「コボス」は、「小柄ながら、陰険さによって政権をものにした」、らしい。なかなか悪い奴だ。また6代目ボス「ゴンゾウ」は「気が優しいが力持ち。さらに顔もよいという、牧場のボスとしては最高の性格と実力を持ち、7年という長期に渡り政権を維持した」という。ほかにも、8代目ボス「キンタ」と9代目「リキ」の兄弟対決、若き日は暴れん坊だったがボスになったのちは「和」を重んじた15代目「ブッチャー」など、人間顔負けの権力闘争が繰り広げられている。

冒頭の写真の当代・第20代目ボス「ダイキチ」は、説明文にこう書かれている。

5月の発情期に入ってから、成獣のオス群れではボス争いに関わる威嚇(いかく)・攻撃行動やマーキング行動が見られ、体格が大きくなったダイキチがボスの座に君臨しました。

ただボス熊の特徴である牧場内の「巡回行動」や「闘争仲裁行動」はまだ少ないという。巡回したり、闘争を仲裁したりするのは、ボスの条件のようだ。これもまた、どこかの世界に似ているような気もする。

のぼりべつクマ牧場(Kinden Kuoさん撮影,Flickrより)
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