駅の売店は、このまま「コンビニ化」するのか? 先行ファミマ、追うローソン・セブン
ローソンは2015年8月4日、東京メトロ秋葉原駅構内に「ローソンメトロス」1号店をオープンさせた。
今回オープンしたローソンメトロスは、従来の売店「メトロス」をリニューアルしたもの。
同駅はJR山手線・京浜東北線・総武線、つくばエキスプレスが乗り入れ、東京メトロだけで1日平均約12万人が乗り降りする。
視認性の高い立地ということもあり、多くの通行人の視線を集めていた。約2.5坪とコンパクトな売場ながらお客が途切れることはない。
ローソンのPB商品が買える
Jタウンネット編集部は開店初日に利用した。取扱アイテム数は500品目上におよぶが、かつての売れ筋だった新聞・雑誌は大幅に絞り込んでいる。
代わって目を惹いたのは、高い位置にぶらさがっているiTunesカードやモバコインカードをはじめとするプリペイドカードと、ローソンの開発したオリジナル商品――おにぎりやサンドイッチ、小物菓子。同店のような小型店舗に、賞味期限の早い商品が店頭に並んでいるのは新鮮だ。
またペット飲料の値引き販売は普通のコンビニを思わせる。
駅売店の利用者の中心はサラリーマンというのが常識。その点ローソンメトロスは、小物菓子を増やしているあたり、女性客を増やそうという意図が垣間見える。
交通系電子マネーのほか、クレジットカードによる決済、Pontaカードの利用にも対応している。実際、筆者の前に並んでいた客のPontaカード提示率は高かった。
商品単価の低い駅売店にとってスピードは命。「□□ちょうだい」と言えば、年配の女性店員が「はい、どうぞ。○○円」と瞬時に判断・対応してくれる。おつりをくれるのも早い。
彼女たちのレジ対応能力にコンビニの企画力、商品力、一部サービスが加われば、駅近くのコンビニにとって脅威となり得るだろう。
ローソンメトロスの出店は今後も続く。赤坂見附店が8月25日、綾瀬東口店が9月中旬にそれぞれオープンする。これらの売店を皮切りに、東京メトロ駅構内に約50店を展開する予定だ。
鉄道会社に食い込むファミマ
下の地図は、全国の駅ナカに進出している主なコンビニをまとめたもの。
駅市場を積極的に取り込んでいるのがファミリーマート(ファミマ)で、ローソンよりも先行している。
セブン-イレブンはJR各社と相次いで提携しており、JR北海道やJR四国、JR西日本の主要駅施設内に展開している(ただしJR九州はファミマ)。名古屋地区ではサークルKも奮闘している。
駅売店もコンビニに飲み込まれそうな勢いのように思えるが、「NewDays」のJR東日本や「Odakyu OX」の小田急、「A LoT」「K-Shop」の京王、「アンスリー」の京阪、「アズナス」の阪急阪神などは独自路線を続けている。とくにNewDaysの売上は年間1000億円を超える。これはセーブオンやスリーエフよりも上だ。