パナソニックの「城下町」門真は今...シャッター街化する商店街、廃業する下請け、そして飛躍図る町工場
内向きから外向きへ、パナソニックからの親離れの改革
京阪西三荘と門真市の間、パナソニック本社に近い門真銀座商店街は、今では人通りも少なくシャッターが閉まった店が目立ちます。そして松下のモノづくりを支えてきた、守口・門真の多くの中小下請け企業もバブル崩壊以降、その業績不振とともに廃業・倒産が相次ぎました。
そんななか、生き残りをかけ"親離れ"をしようとしているのが、守口市の三郷金属工業です。主に家電製品などに使われるリチウム電池に接続端子を取り付ける特殊な溶接を得意とする会社です。2016年で創業70年、1946年にもともと松下の関連会社にいた祖父が独立して創立し、以後松下電器の下請けとして共に発展してきました。これまではほぼ100%がパナソニックからの仕事でした。
ですが、パナソニックの業績悪化により売上げも減ってきたことにより、他社への営業に踏み切ることにしたのですが、これまで松下からの仕事に頼り切ってきた会社に「営業」という部署はありませんでした。そこで営業経験者を新規に採用し、専属スタッフも配置して新たに「営業部」を設置したのです。
そして、親離れをきっかけに新しく"玄関"も作りました。訪れた人を驚かせるために、金属加工という硬いイメージとは全く違う純和風のたたずまいに。中はまるで旅館のロビーを思わせるこだわりよう。オシャレなプレゼンルームも設けています。
さらに、パナソニックの仕事だけをしていた時には必要のなかったホームページを立ち上げ、これまで内向きだった自社の高い技術を外に向けてアピール。立ち上げてすぐに、家電以外のメーカーから、精密部品の溶接といった思いもよらぬ仕事も舞い込みました。今では問い合わせは100件以上あり、新規開拓の大きな柱になっています。
今は、「企業城下町で培った技術で世の中に打って出る時代」だと、三郷金属工業の児島社長は語ります。(ライター:ツカダ)