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埼玉県警「チカン防止シール」に「冤罪ガー」としか言わない人たち

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.04.17 18:08
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埼玉県警が普及を目指している「チカン防止シール」をめぐり、ブーイングの嵐が起こっている。

5000ツイートの大半がブーイング

このシール、女性がスマートフォンなど身近な小物に貼ることを想定して作られているそうで、表面にはマスコットキャラの「さわらないで!」とのメッセージが。被害者はとっさに声が出なくても、まずはそれを見せることで、相手に拒絶の意思を示すことができる(らしい)。

そしてさらに――ここがもっとも批判を集めている点なのだが――この表面部分をはがすと、中には油性インクで「×(バツ)」マークが印字されている。このインク部分を相手の手に押し付けることで、その手に「×」を付け、後ほど痴漢の「証拠」として役立てる、という目的だ。

画像はイメージです
画像はイメージです

2015年1月から配布が始まったこのシール、4月17日に朝日新聞(ウェブ版)が掲載したことで話題になった。その記事には5000件を超えるツイートがついているが、その多くは批判――というより拒否反応で、その大半はシールが「冤罪が増える!」「冤罪シールだ!」という趣旨のものだ。

2ちゃんねるやまとめブログなどで踊る「貼られた男は痴漢犯確定」の見出しからもわかるように、貼るだけで男を「警察、裁判所を通さずに私刑」で痴漢冤罪に仕立てることができる恐怖のシール――それが、ブーイング派から見た「チカン防止シール」の姿らしい。

ちなみにこのシールを紹介し、議論のきっかけを作ったのは朝日新聞だが、産経新聞が「『冤罪の助長』にならないか」と過去に論じているのはちょっと面白い。

密着しないと使えない

とりあえず、冒頭に紹介した通り、このシールを「貼る」のは女性の持ち物なので、男性に勝手に貼り付けて冤罪成立、というのは、まず間違いだ。

その上で、女性が悪意を持って(つまり、相手を陥れる目的で)使うシチュエーションを考えてみたい。まず、強く押し付けないと相手の手には写らない、ということを考慮すると、むしろかなり近づく(それこそ痴漢されるくらいに)必要がある。密着してきて、スマホなどを自分の手に押し付けてくる女性――むしろ、「冤罪被害者」の側としては、不自然な行動として申し立てる材料が増えるのではないだろうか。
また押し付けられたインクの角度や付着の仕方などは、男性と女性の位置関係などを示す情報にもなり得る。あまり不自然な付き方をしていれば、むしろ冤罪を晴らす「証拠」にもなる。

このあたりを考えると、むしろこの「チカン防止シール」で痴漢冤罪をでっちあげるくらいなら、何の証拠もなく「この人、痴漢です!」と警察に突き出す方が、まだ簡単なように思われる。

「いくら裁判で勝てても、一度濡れ衣を着せられたらそこで終わりだ!」という意見はあるだろう。それはそうかもしれないが、それはシールがあろうがなかろうが同じ話だ。別にこのシールは、印を付けた相手を自動的に逮捕してくれる魔法のアイテムではないので、結局は誰かが「痴漢です!」と警察に突き出す必要がある。なので誤認にせよ、悪意にせよ、「冤罪被害者」が生まれるまでのプロセスは従来と変わらない。

そもそも役に立つかは怪しいけれど

もちろん前提条件として、「さわらないで!」というメッセージを見せられたくらいで引っ込む痴漢はあまりいないだろうし、わざわざ愛用のスマホにこんなシールを貼る女性もあまりいないだろう。シールの実効性は、今一つ怪しい。

とはいえ、埼玉県警鉄道警察隊に寄せられた痴漢の相談件数は実に255件(埼玉新聞、2015年2月27日付朝刊)。表沙汰にならなかったものも加えれば、さらに多いことは言うまでもない。せっかく4000枚も刷ったのだから、少しでも役に立つことを祈りたい。

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