栃木弁で犯人を追う! 県制作の珍ドラマ「方言刑事」が面白い
福島と境を接する栃木の方言は、茨城弁と同じ東日本方言に分類される。平坦なアクセントと尻上がりのイントネーションが特徴だ。肯定形の終助詞に「わ」「だんべー」「べー」、疑問形には「け?」「かい?」が用いられることが多い。第一印象は荒っぽく感じられるが、よくよく聞くと思いやりに満ちた温かさが詰まっている。
そんな栃木弁を駆使したドラマがインターネットで公開されている。県が制作した「方言刑事」(ほうげんデカ)は、1本6~8分ほどのショートコメディドラマ。メインキャストに地元出身の川連廣明が起用されている。
ドラマに流れる「ゆるさ」が方言で増幅
東京スカイツリーにあるアンテナショップ「とちまるショップ」。ここに架空の組織「栃木秘密警察」の司令室が置かれている。
主人公はご当地グルメ特命課の新人刑事シンジ。栃木県内のご当地グルメ店に不審人物が出没するという情報が入り、現地調査のため栃木へ向かう。
時速100キロの俊足で店に辿り着くが、走りすぎてシンジの体はボロボロ。箱根駅伝の学生ランナーみたいに床に倒れ込む。白目をむいているのは少々オーバーだが。
店主の「おもてなし」とご当地グルメを食してシンジは元気を回復するが、そこで交わされる栃木弁が場を和ませる。
【だいじけ? どうしたんだべ?】→大丈夫か? どうしたんだ?
【でれすけ~】→だらしがないなあ(笑)
【あったらもんだ~】→もったいない
【こでらんねぇ】→たまらない
方言刑事は3部構成で、登場するグルメはそれぞれ異なる。 1話がおなじみ「宇都宮餃子」。2話が那須塩原市の「とて焼」、3話が大田原市の「とうがらしラーメン」だ。
「とうがらしラーメン」はシャキシャキの野菜がたっぷりに盛られ、赤みがかった麺は大田原産の唐辛子が練り込んである。
冒頭で「栃木のごグルメはあまり詳しくありません...」と自信なさげに告白したシンジだが、調査先の飲食店で「くせになるべ~」「うんめぇ~」を連発、いつしか郷土料理の虜になっていく。
肝心の捜査の行方も気になるところ。手がかりは遅々として掴めなかったが、第3話で訪れたラーメン店の防犯カメラに不審者が映っていた。彼の正体とは......。
主人公が犯人を追いつめるシーンに思わずニンマリさせられるが、1話から見ることをお勧めする。