富山の職人が本気出して作った和風「獅子ギター」がカッコよすぎる
Jタウンネット読者のみなさんは井波彫刻(いなみちょうこく)をご存じだろうか。富山県南砥市に伝わる木彫りの技法で、18世紀半ばの江戸時代、京都本願寺の御用彫刻師が地元の大工にその技を教えたことがきっかけで、かの地に木工彫刻が花開くこととなった。現在では国の伝統的工芸品に指定されている。
楠(くすのき)や欅(けやき)、桐(きり)などの天然木を材料に、200本以上のノミや彫刻刀を用いて、欄干(らんかん)や衝立(ついたて)、獅子頭、天神様などを仕上げていく。
日本の工芸の粋ともいうべき井波彫刻と、20世紀にアメリカで誕生したエレキギターとが融合した楽器があるらしい――。東武百貨店池袋本店で展示されると知ったJタウンネット編集部は、会場の「日本の職人展」へ向かった。
3本のギターはいずれも超個性的
2015年1月2日~13日の12日間にわたって開催された日本の職人展。北は北海道から南は沖縄まで122の業者がブースを構え、アクセサリーや家具、生活/趣味/インテリア/婦人雑貨、婦人服・呉服、和装小物などを展示販売していた。
どこか懐かしい雰囲気のする商品ばかりだが、時代に合わせた物づくりに挑む全国の職人の心意気が感じられる。
決して広くはない8階催事場だが所狭しとブースが連なる。目当てのブースはエレベーター乗り場の真ん前に位置していたので、幸い迷うことなく辿り着けた。
展示中のギターは3本あり、右から「龍剣~Dragon Sword~」「水月」「獅子」と名前が付いている。
いずれのギターも製作期間は6カ月程度かかる。つまり完全受注生産というわけだ。一番安い「獅子」で54万円(税込)で、「水月」が108万円(同)、そして「龍剣」は驚きの195万円である。もっともパネルには「表示は参考価格です」と書いてある。発注時のデザイン次第で値段は変わるのだろう。また備考欄には「本体:ESP製」の記述もある。井波彫刻の職人が担当するのはあくまでボディだけということか。
話は変わるが、音楽界ではアイドルとメタルが融合したメタルダンスユニット「BABYMETAL」が世界的なブームを巻き起こしている。世界征服を目標に掲げながら、メジャーデビュー曲は「イジメ、ダメ、ゼッタイ」。決めポーズはキツネサイン。
BABYMETAL - Road of Resistance - Trailer(YouTubeより)
井波のギターだって、外国人が見たら「日本人はなんてすごいものを作っちまうんだ...邪を祓うには最高だよな」と感嘆されるかもしれない。
学生時代に楽器を習っていたことのある筆者は、実際に手に取って音を鳴らしたい衝動に駆られたが、「手を振れないでください」の札がかかっていたので、欲望をぐっと堪え、フラッシュを炊かずに撮影するだけにとどめた。
ご当地にはミュージアム「井波彫刻総合会館」があり、230有余年の歴史を誇る木彫刻から現代彫刻、工芸品が展示・販売されている。
木彫ギター以外にも注目の品が
せっかくなのでギター以外の商品も覗いてみることにした。福岡から来た「星野民芸」は売約済の札がいくつもかかっていたし、
山形のニットメーカー「ケンランド」は、リネン商品を買い求める女性で混雑していた。
入口付近には東洋大学地ビールのラベルを手掛けた切り絵作家・百鬼丸さんのブースも。来年の大河ドラマの主役・真田幸村のデザインを取り入れたTシャツなどが展示されている(参照:箱根駅伝優勝候補・東洋大学で売ってる「地ビール」がうまい! 製造元はあの有名メーカー)。
日本大好きな外国人が見たら関心をもってくれるに違いないと夢想したが、百貨店で買い物するのが好きそうな、高齢の日本人男女の姿ばかりが目立つ。
仮に外国人に向けてこれらの商品を売り込むなら、同百貨店の1階または地下1階にも会場を設けるとか、東京・原宿のキディランドにも展示してみるとか、いろいろ仕掛けてみたら面白いのにと思う。外国人VIPが一目ぼれするとも限らない。