お雑煮の汁=「おしるこ」な県もある! おすましだけじゃない地域差事情【年始特集「お雑煮」(3)】
すまし汁派が大勢を占める
色分けされた地図で、味噌仕立て派の県をもう一度見てみよう。大阪、京都の他は、和歌山と福井。あとは四国の徳島、香川、高知の各県だ。日本列島の真ん中辺りにかたまっているという構図が明らかである。
今回の調査に当たり参照した伝承料理研究家・奥村彪生さんの著書『聞き書 ふるさとの家庭料理5巻もち・雑煮』(農文協刊)にも、次のように書かれている。
みそ仕立ては少数派。近畿(白の甘みそ派)と越前(赤みそ派)、四国香川、徳島などである。全国的にはすまし汁派が勢力を占めている。
近年の人口移動や都市部への流入という変化をかなり受けながらも、おすまし派多数の状況は強まりこそすれ、弱まる気配はないようだ。
なお小豆汁は、山陰地方独特のもので、島根県東部から鳥取県にかけて分布している。本調査でも鳥取県は小豆汁が多数派だった。
その他の地域の場合は、山陰地方の人たちの移動による影響と考えられる。
ところで気になるのは、結構多かった「その他」の回答。東北などでは、「納豆」を使うところがあるという話も聞くが......具体的にご存じの方がおられたら、編集部までご教示いただけると幸いだ。
以上、「お雑煮」にまつわる地域差を、3回に分けて紹介した。お雑煮をめぐってはこのほか、具などについてもかなりの違いが存在する。休み明けの話題の種にしていただければ幸いだ。