関西人は、リニアは「京都」と「奈良」どっちに通ってほしいのか
リニア中央新幹線の名古屋~大阪間のルート選定をめぐって、奈良と京都がし烈な誘致合戦を繰り広げている。
最高速度時速505キロ、東京と大阪を約1時間で結ぶ「リニア中央新幹線」は、品川~名古屋間の開通が先行して進められ、13年後の2027年開業を目指す。
京都駅周辺にはもう場所ないんじゃない?という意見が噴出しそうだが、「京都駅南口地下に作ればいいんです!」と主張。
そして京都は滋賀や北陸、山陰、奈良の各方面に出られる交通の要衝であり、経済効果は奈良ルートの420億円の約2倍、810億円にのぼると試算している。
「かつての京都はリニア誘致に熱心じゃなかった」「自治体の事業費負担ゼロと分かったから、こんなに強く出ているのでは...」という声も聞こえるが、そんなことは意に介さない。市と府は一丸となってアピールに努めている。
奈良県内も内部では誘致合戦が...
現状は優勢の奈良だが、県内も一枚岩ではない。中間駅をどこに設置するかで奈良・生駒・大和郡山の3市がそれぞれアピール合戦を演じている。
奈良と京都以外の自治体はというと、大阪府の松井一郎知事は、できるだけ早く大阪までの延伸を実現したいという立場もあって、計画の立て直しが必要になる京都ルートには否定的だ。
滋賀県の三日月大造知事も、「なんでもかんでも京都でなくてもいい」として、奈良ルートを支持している。
関西経済界も、時間短縮という点で奈良ルート派が強い。京都は孤軍奮闘、というところだ。
関西の意見がまとまらないところは、伊丹・関空・神戸が並立する「関西3空港問題」に似ている。関空オープン当初は「関西経済浮揚の起爆剤に」と期待もあったが、今では地元自治体の重荷になってしまった。
JR東海が奈良と京都の2ルートを同時に作ることは考えられない。早く意見を一本化しないことには、いつまで経っても工事着工のメドは立たない。