ピエリ守山、ファストファッション看板に復活へ! でも雲行きは...?
リーマンショックが発生した2008年は、ショッピングモール(SC)の大型化がピークに達した年だった。東の横綱SC「イオンレイクタウン」(埼玉県越谷市)と西の横綱SC「阪急西宮ガーデンズ」(兵庫県西宮市)はいずれもこの年にオープン。前者はほぼ何もない場所に建設され、後者は阪急神戸線西宮北口という一等地にできた。立地条件としては好対照なのに、どちらも高い集客力を誇る勝ち組SCとして知られている。
その一方で典型的な負け組として揶揄の対象になってきたのが、同年9月に開業した「ピエリ守山」だ。
リニューアル後の様子はこちら→ピエリ守山が大・盛・況!でもう「廃墟」とか言えなくなってた
ファストファッションブランド集結で起死回生なるか?
「なにかの撮影スタジオにしちゃえば」「いやいや、物流センターがピッタリ」という声まで出ていたピエリ守山。ところが、大阪の不動産会社サムティが経営権を取得し、ようやく明るい兆しが見えつつある。
同社が9月12日に発表した事業計画によると、国内外のアパレル・雑貨店舗、滋賀県の地元の食物販・飲食店舗等を誘致し、12月中旬にも再オープンするという。国内でSCを6カ所運営する双日商業開発が運営を担当する。
目玉はグローバルSPAの大型店舗で、H&M、ZARA、Bershka、Stradivarius、GAP、OLDNAVYがテナントとして入ることが決まっている。なお、BershkaとStradivariusはZARA、OLDNAVYはGAPのそれぞれ別業態。
この中で注目はStradivariusだろう。日本に上陸したのは最近でメインターゲットは20~30代の女性。ららぽーと甲子園、ららぽーとTOKYO-BAYには入っているが全国展開はこれからだ。
全国のSCの衣料品部門でグローバルSPAの占める割合は年々上がっているが、一方で9月22日発売のファッション週刊誌「WWDジャパン」は、今夏商戦でグローバルSPAが全滅状態にあると報じている。ファストファッションは多くの若者の支持を集めたけれども、消費者の嗜好が大きく変わりつつあるとしたら――ピエリにとって気になるニュースだ。
ファッションブランドの構成でいえば、車で約25キロ離れた三井アウトレットパーク滋賀竜王の充実ぶりは目を惹く。1店舗当たりの広さはそれほど大きくないものの、感度の高い大学生からファミリー向けまで一通り揃っていて、ZARAのアウトレットまである。
核店舗の発表がないのも気になるところ。東海地方に拠点を置くスーパー・バローはピエリ守山から2年で撤退したが――。
サムティはロケーションを活かし、アウトドアライフをコンセプトにした体験型付帯施設を併設することも明らかにしている。
最近のSCのトレンドはコト消費(楽しい体験)。けれども業界最大手のイオンモールでも成功の方程式は確立していない。新しい消費スタイルを提示してくれるSCの出現を消費者は期待している。
