デング熱を恐れず代々木公園をぶらぶら散歩してみた
日本各地の町々に注目して、これまでさまざまなスポットを紹介してきたJタウンネット編集部。
さて、そろそろ朝晩涼しくなり始めた今日この頃、一足早い「秋」を楽しめるようなスポットはどこかないものか――。
「それなら、公園の散策とかいいんじゃないですかね?」
「いいね、『小さい秋』探しか。でも、手近に行ける公園ってどこがあるかな?」
「うーん、今話題になっている公園というと......」
というわけで、今日本で一番話題になっているであろう公園「代々木公園」に出かけることにしたのであった。
近所のコンビニには虫よけスプレーのコーナーが...
「話題のスポットって、そういう意味じゃないだろ......」と一時のノリを早くも後悔しつつ、とぼとぼと原宿駅に降り立った筆者。
今日本中を騒がせているデング熱を媒介するのは、「蚊」だ。下手に刺されれば、冗談抜きで命取りになりかねない。いくらなんでもノリや酔狂でデング熱にはなりたくないので、公園に入る前に、駅前のコンビニで虫よけスプレーを買い求めた。
そんな筆者を見透かすように、店頭には「緊急入荷!」をうたった虫さされ対策コーナーが。きっちり「デング熱」の文字がポップに踊っている。
というわけで、虫よけスプレーをいやというほど体に吹きかけてから、代々木公園入口。
園内に入ると、いたるところに「蚊にご注意!」の看板が立っている。場所によっては、それこそ5メートルに1本、というほど密集しているところも。
ちなみに都による駆除作戦の直後だったことに加え、虫よけスプレーのご加護の甲斐あってか、普通に歩いている分にはあまり蚊の気配を感じることはなかった。ただ不安感からか、看板を見るたびになんだか体がムズムズするのには難儀した。
さて、普段の賑わいはどこへやら、園内はひどく閑散としている。曇り気味の天気もあり、都心の緑の上には、陰鬱なムードが漂う。
たまにいるのは、公園の「住民」と見えるおじさんたちだ。彼らはデング熱などどこ吹く風、という顔で、涼風に当たりながらベンチで寝転んでいる。
報道を知らずにやってきたのか、外国人観光客が怪訝な顔をしながら歩く姿も見受けられた。むしろ空いていることを幸い、ギターをつま弾いて軽やかに歌う人もある。ここだけ見ると、ある意味平和な光景かもしれない。
騒動の影響をモロに受けていたのが、園内中央にある噴水広場だ。
普段なら噴水を囲み、人々が憩う場なのだが、ボウフラ対策のためか、池の水はすべて抜かれてしまっている。
ついでに大掃除も、ということなのか、空っぽになった池の周囲では、職員たちがせわしげに働いていた。
園内はそろそろ秋の空気
さて、せっかくなので本来の目的(?)である公園散策についてもレポートしたい。
まず足元に見つけたのは、懐かしいどんぐりだ。
子どものころのように拾い集めて持って帰りたかったが、机の中にしまいっぱなしにしていたどんぐりから、得体のしれない虫が「こんにちは」していたいつぞやの記憶を思い返し、そのまま置いて帰ることにした。
どんぐりに続き、秋を思わせる張り紙を見かけた。
「詰まります!!」
代々木公園といえばイチョウの名所だが、拾った銀杏を園内のトイレで洗う人があり、おかげで洗い場が詰まってしまうのだという。
銀杏自体を見かけるのはまだまだ先の話だし、公園側としては切実な要望なのだろうが、いかにも秋らしい風景を想像し、少し微笑ましい気持ちになった。
ちょっとレトロな売店の方は、すっかり商売あがったりの様子だ。店員さんもカウンターの奥に引っ込んでおり、筆者が入ってきたのに気付いて慌てて顔を出してくれた。
歩き回ってお腹も空いたので、カレーライスを注文して、外で食べることにした。
カレー自体は、「そうそう、これこれ!」と言いたくなるような、いかにもな日本風の味わいだ。ただ、ちょうど座った席の真ん前に例の「蚊にご注意!」の張り紙があって、食べているうちに体がまたムズムズしてしまい、食後は再び念入りに虫よけスプレーを使うことになった。
今なら空いてて、ある意味穴場?
こうして、とりあえずは無事に代々木公園散策行を終えることができた。
デング熱をめぐる騒動が今なお現在進行中だけに、あまりうかつなことは言えないが、空いている今は、都心とは思えない開放感を味わえるある意味「穴場」スポットと言えなくもないかもしれない。
なにはともあれ筆者の今の願いは、「次回の記事が『デング熱かかってみた』になりませんように......」という一点だ。