意外と楽しい「都道府県の旗」の世界
自分の住んでいる「都道府県の旗」、読者の皆さんはすぐに思い浮かぶだろうか。
お役所に行けば必ずパタパタはためいているし、広報紙や掲示物などにもあしらわれていることが多いので、目にする機会はそう少なくないのだが、はっきり言ってそれほどなじみ深い存在とは言い難い。
しかしよくよく見てみると、これがなかなか意外と楽しい。デザイン的に秀逸なものもあれば、なんだか投げやりだったり、かと思えばダジャレみたいな由来だったり。ここでは、編集部がセレクトした、おススメの都道府県旗を、そのタイプ別に紹介しよう。
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やっぱり楽しい「都道府県の旗」の世界
読めねえ!漢字モチーフ編
まずは、東京都の旗。
1889年に制定された、最も歴史の古い旗だ。丸印から放射状に伸びた6本の直線と、そのシンプルな美しさは他の追随を許さない。別に卑猥なマークではない。決して。
この由来だが、「日本東京市」の5文字を取り入れて図案化したもの。確かに「東」にも見えるし、「京」にも見える。「日」「本」「市(今は市ではないが)」にも見える。
同じく漢字だかわかりにくいのが栃木県。このマークで実は「栃」の字を表しているのだが......すみません。読めません。
読めない漢字シリーズ第2弾は岐阜県。こちらは「岐」の字をデザイン化している。右上の「十」の部分に注目しつつ目を細めてみると、なんとなくわかるようなわからないような......。
漢字系の中で、個人的に一番好きなのが岡山県の旗だ。「岡」の字を図案化しているが、ズバッと伸びた「V」ラインがかっこいい。平成仮面ライダーの顔といっても通りそうだ。
同じ「岡」を顔にしたオカザえもんとは一味違う。
レトロ感があるカタカナ編
続いての広島県はカタカナの「ヒ」をモチーフにしている。花王のマークみたいだ。カタカナ由来のマークは戦後作られたものが多く、よく言えばレトロな趣があるが、悪く言うと安直、ちょっとダサいものも少なくない。
奈良県と長野県は、どっちも「ナ」由来。しかもどっちも丸っこくデザイン化している。制定はどちらも1960年代後半、ダブらないようにしようとか思いつかなかったのだろうか......。「スマッシュブラザーズ」のマークっぽい長野県の方が、スタイリッシュ感では一歩勝る。
「1字目のカタカナをとりあえず丸っこくしてみました」というものも少なくない中、なかなかかっこいいのが秋田県と千葉県だ。
秋田県は「ア」を躍動的にデザイン化。実は半世紀近くこの旗は「作者不詳」だった。応募時に添えられていた名前が、仮名だったためだ。ところが最近になって、隔離施設で闘病生活を送っていたハンセン病患者(故人)が、名前を隠して応募していたことが明らかに。数々の県旗の中でも、最もドラマチックな経緯を持つ旗といえるだろう。
千葉県の旗は、「チ」「ハ」を組み合わせたもの。こちらは1909年制定とかなり歴史は古いが、SF作品の国旗などになっていそうな趣がある。
ほっこりするひらがな編
福島県の旗のように、「ひらがな」をモチーフにしたところも少なくない。福島は見ての通り「ふ」を元に丸っこくアレンジしたもの。この福島を初め、「ひらがな県旗」はどこか愛らしいものが多い。
三重と宮城はともに「み」を元にしている。「ナ」の長野・奈良同様かぶってしまっているのだが、アレンジの方向性がまったく違うのであまり似ていない。デザインとしては県花「ミヤギノハギ」の形も取り入れた宮城の方が高度なのだろうが、元の文字そのまんまな三重の愛らしさも捨てがたい。
さて、以上編集部が選んだ12種類のデザインを紹介してきたが、いかがだろうか。まだまだ素敵なデザインの都道府県旗はたくさんあるので、皆さんもぜひ探してみてほしい。