長崎の読書感想文のテーマは「地元の偉人・梅屋庄吉!」←知ってた?
長崎県は対象本を全小学校に3冊ずつ配布
これとは別に、独自の読書感想文コンクールを実施するのが長崎県だ。課題図書に選ばれたのは「長崎の偉人―梅屋庄吉―」で、対象は県内の小学生(主に5・6年生)。
しかし、「長崎の偉人」と大上段から言われても、多くの人には正直なところぴんと来ないのが実情だろう。ある程度近代史に詳しい人でなくては、その名を聞いたことすらないのではないだろうか。県のセレクトはなんとも渋いと言わざるを得まい(もっとも他に長崎出身の偉人と言うと......美輪明宏?)。
梅屋はカメラマンとして成功し、映画事業に進出して日活の創設者の一人になるが、得た利益を中国革命の指導者・孫文に提供する。
清国政府を倒す革命を成功させ、日本と中国が手を取り合ってアジアの平和を実現するべき――孫文の考えに共鳴した梅屋は、中国を追われ日本に亡命した孫文を東京でかくまうなど、精神面でも支えになった。
孫文の死後、反日運動が盛んな中国に4基の孫文像を建て、大胆にも和服姿で除幕式に参列したという。
日中戦争が始まって梅屋は国民の非難を浴びた。それでも日中和平を実現するため活動していたが、胃がんのため1934年に息を引き取った。
彼が孫文に提供した資金の総額は、現在の価値にして数千億から1兆円とも言われている。真偽は不明だが、梅屋の行動も金額もスケールがでかいことは確かだ。