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長崎の読書感想文のテーマは「地元の偉人・梅屋庄吉!」←知ってた?

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.07.17 17:32
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学生たちは間もなく夏休みに入る。期末テストもそろそろ終わりで、街を歩く彼らの表情は一様に明るい。

夏休みの宿題といえば読書感想文だ。
全国学校図書館協議会が実施する青少年読書感想文全国コンクールは、小学生低学年・中学年・高学年、中学校、高等学校の5部門で計18冊が課題図書に選ばれている。

長崎県は対象本を全小学校に3冊ずつ配布

これとは別に、独自の読書感想文コンクールを実施するのが長崎県だ。課題図書に選ばれたのは「長崎の偉人―梅屋庄吉―」で、対象は県内の小学生(主に5・6年生)。

長崎の偉人 梅屋庄吉読書感想文コンクール(「長崎近代交流史と孫文・梅屋庄吉ミュージアム」のウェブサイトより)
長崎の偉人 梅屋庄吉読書感想文コンクール(「長崎近代交流史と孫文・梅屋庄吉ミュージアム」のウェブサイトより)

しかし、「長崎の偉人」と大上段から言われても、多くの人には正直なところぴんと来ないのが実情だろう。ある程度近代史に詳しい人でなくては、その名を聞いたことすらないのではないだろうか。県のセレクトはなんとも渋いと言わざるを得まい(もっとも他に長崎出身の偉人と言うと......美輪明宏?)。

梅屋はカメラマンとして成功し、映画事業に進出して日活の創設者の一人になるが、得た利益を中国革命の指導者・孫文に提供する。
清国政府を倒す革命を成功させ、日本と中国が手を取り合ってアジアの平和を実現するべき――孫文の考えに共鳴した梅屋は、中国を追われ日本に亡命した孫文を東京でかくまうなど、精神面でも支えになった。
孫文の死後、反日運動が盛んな中国に4基の孫文像を建て、大胆にも和服姿で除幕式に参列したという。
日中戦争が始まって梅屋は国民の非難を浴びた。それでも日中和平を実現するため活動していたが、胃がんのため1934年に息を引き取った。
彼が孫文に提供した資金の総額は、現在の価値にして数千億から1兆円とも言われている。真偽は不明だが、梅屋の行動も金額もスケールがでかいことは確かだ。

長崎県人の歴史観がにじみ出ている?

県は2010年から「孫文・梅屋庄吉と長崎プロジェクト」を展開している。2014年3月には県内小学校に対象本を3冊ずつ配布するほどだ。本は「長崎近代交流史と孫文・梅屋庄吉ミュージアム」(長崎市旧香港上海銀行長崎支店記念館)のウェブサイトからもダウンロードできる。

思想の立場を超えて中国人に敬愛される孫文と、彼を支え続けた日本人・梅屋庄吉。その後の日中の歩みを思えば、歴史的評価が定まるのはまだこれからだろうが、そんな彼の伝記を課題図書にするところに、長崎県人の歴史観が垣間見えるというのは言いすぎだろうか。

長崎県の小学生だけでなく、中国の小学生向け課題図書に指定されていい本かもしれない。

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