鳥取市の餓死系ゆるキャラ「かつ江(渇え)さん」が怖すぎる
織田信長の命によって、羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)は播磨・中国地方を攻略した。彼が攻略した鳥取城は徹底した兵糧攻めが行われ、飢えた城方は死者の人肉を奪い合って喰う事態に。約4カ月で城は降伏するが、残酷な様子は「鳥取の渇(かつ)え殺し」として今に語り継がれている。
その籠城戦マスコットキャラクター「かつ江(渇え)さん」が鳥取市ウェブサイトで発表された。マスコットらしからぬ、おどろおどろしい画風がネット上で話題になっている。
2013年12月~2014年2月、市は鳥取城跡マスコットキャラクターを公募し、かつ江さんは応募作品の1つで次点止まりだった。普通であればお蔵入りとなるところ、別のマスコットとして起用されるのは珍しい。
鳥取市民のご先祖様の苦労がしのばれる...(涙)
鳥取城の兵糧が1日でも早く尽きるよう、周辺の農民も城へ逃げ込むよう秀吉は仕向けたという。
かつ江さんは、故青木雄二さん作「ナニワ金融道」に出てくる不幸なキャラっぽい。使い古された服に裸足という身なりからすると、武士の家族ではなく百姓だろうか。顔は老けているが、スネや腕が出ているところをみると、身長が伸びたのに服を買ってもらえない若い女性かもしれない。カエルを握っているのが痛ましく、食料にするのだろうか。
なお、利用に当たっては2次創作なども(使用規定の範囲内で)容認しているなど、見た目によらずなかなか先進的だ。
ちなみに、鳥取城跡マスコットキャラクターに選ばれたのは「とりのじょう」。ありがちなデザインだが、福を呼びそうな雰囲気が漂っている。これはこれでありだろう。
鳥取城は日本100名城の1つに選ばれ、市民や観光客の憩いの場になっている。つらい時代を必死に生き抜いて命のリレーをつないだご先祖様がいたからこそ、現在の鳥取の繁栄がある――当たり前だけど忘れがちな史実を伝えるうえで、2つのキャラクターは好対照といえるのではないか。