だるいことを「しんどい」「えらい」と言うのは何県民?
北の「こわい」、西の「しんどい」、広範囲の「えらい」
次に都道府県別の結果を見てみる。
大ざっぱにいうと、北海道から北関東まで「こわい」が伸びていて、首都圏はバラバラ。石川・富山は「その他」の支持が最も高く、甲信・東海と中国は「えらい」が強い。
関西と四国の西半分は「しんどい」が多数派で、九州は「きつい」が過半数――北東北と首都圏を除くと比較的きれいに線引きができた。
有名な民俗学者・柳田国男は「方言周圏論」を唱えた。文化の中心地で新たな語形が生まれては周辺へ伝播する。その過程は波紋に類似しており、古い語形ほど外に、新しい語形ほど内側に分布する――という考え方だ。
かつての日本の文化的中心地は京都。関西が「しんどい」で、その周辺に「えらい」が分布しているのは、柳田説を思い起こさせる。関西出身者からも、「『えらい』はおっさんの言葉」という証言があった。「しんどい」は比較的新興の言葉なのだろうか。