「離合」は共通語じゃありません→じゃあどこまで通じるの?
この春、九州から東日本、あるいは東日本から九州に転居した読者もいることだろう。食べ物や方言に地域の個性があるのは当然だが、全国共通と思われがちな交通用語も、ごく一部にローカルルールが存在している。
その代表的なものが、狭い道路で対向車とすれ違うときに使われる「離合」(りごう)。ぶつからないよう広い空間に車を動かすときに使われるけれども、東日本の人は「なんのこっちゃ?」と思われるに違いない。一方で九州とその周辺では完全に定着している。
「離合」使う人は日本人の36%
Jタウンネットではその実態を探るべく、2014年4月3日~4月14日の約12日間、ウェブ上でアンケート調査を行った。
その結果をまとめたのが、上記の表だ。
全国で見ると、「言う」と答えた人は全体の36%で、「言わない」が58%、「聞いたことがある」は6%だった。見てのとおり、中国地方の広島・山口、四国地方の愛媛・高知を境に「離合」の使用率が高くなっている。このラインを、離合が通じる「境界線」とみなしてよさそうだ。
北海道・東北ではまったく通じない
北海道・東北地方全体で「言う」と答えた人は6%に過ぎず、「聞いたことがある」は1票も入らなかった。この地方に住む人に対して離合という言葉を使っても「なんですかそれ?」とツッコミを受ける可能性が高い。
関東地方になると「言う」と答えた人の割合は29%に上昇する。もっとも高いのは東京の31%で、栃木の27%、千葉の24%と続く。ちなみに、栃木のお隣の群馬は「言わない」が100%だった。
北陸甲信越と東海地方は似たような傾向で、「言う」と回答した人は11~12%程度。自動車王国の愛知は「言う」と「聞いたことがある」の合計が28%だった。
近畿は県によって傾向が異なる
近畿地方は府県によって傾向がバラバラで、滋賀と京都で使用率が50%を超える。大阪も「言う」と「聞いたことがある」を合わせると49%に達する。近畿地方の人は離合を使わないだけで、用語としては知っている人が多いのかもしれない。ただし、奈良と和歌山は「言わない」派が多数を占める。
兵庫の割合は東京と同じで、「言う」が31%、「言わない」が63%、「聞いたことがある」が6%となっている。
「言わない」が多数派の兵庫(と岡山)を飛び越えて、大阪・滋賀・京都で比較的使用率が高いのが興味深い。自動車用語だけに、物流面でのつながりが影響しているのだろうか。
福岡では「言う」9割
山陰と沖縄を除き、広島から西は「離合」使用圏といっていい。とくに鹿児島は「言う」は100%(14票)。九州のみならず全国各地から移り住む人が増えているといわれる福岡でも「言う」は88%に達する。
起源は福岡県の看板?
さて、調査中に読者の方からいろいろな情報提供をいただいた。たとえばコメント欄では、
「福岡のローカル番組で、九州からインタビューをしながら東に向かい、広島が「離合」の境界に認定してましたね。」(えうさん)
という証言が。今回のJタウンネット調査とおおむね一致している。
またそもそもの起源として、
「福岡県の林道には、離合と書いた看板が40年前から沢山あります。ここですれ違えと言う意味で。」(飛竜丸さん)
と、福岡県の行政用語に由来している――との説も。
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