「観光客は捨てる」道の駅の成功のために必要なこと
店のコンセプトは「論語」
リクルートを早期選択定年制度で退職し、萩市にIターンした中澤駅長。出身は滋賀県で当地には縁もゆかりもなかった。
萩しーまーとの計画段階から携わっていた中澤駅長。東京のコンサルタント会社が作成した計画書を見せられ、お粗末極まりない内容に驚愕する。商圏を無視した来場者数予測で、遠方からの観光客を当てにしているため客単価が高く設定されている。建物ばかり豪奢で中身が伴っていない。
現実離れした内容を疑問視した中澤駅長は、全国10カ所の「お魚センター」で話を聞いて回った。するとあちこちで聞かれたのが、
「観光客相手じゃ平日はガラガラ。客の数よりも店員の方が多い」
というものだった。
観光施設には旅行代理店の企画したツアーが立ち寄ることが多い。実はこの際、送客手数料という名のリベートが観光施設から旅行代理店に支払われている。売り上げにかかわらずコストが発生する一方で、「あれは観光客向けの施設だから」と地域の人たちが離れてしまう。
地元の人に喜ばれる道の駅にしよう――そう考えた中澤駅長は、あえて観光客を捨てる決断をする。
番組内で中澤駅長は、駅のコンセプトについて次のように語った。
論語に「近い者悦び、遠き者来る」という言葉がありまして――(中略)――「近所の人が悦んで使ってくれる店なら、その噂が広まっていって、よそからも人が来るようになる」という意味だそうなんですけど、それが「ほんまもんだな」と思ったんですね。