「観光客は捨てる」道の駅の成功のために必要なこと
道の駅同士は共存できるか?
リクルートで住宅情報誌関西版の編集長を務めていたという中澤駅長。生き馬の目を抜くような広報・住宅業界と接したことで、ニセモノは淘汰されることが身に染みていたのかもしれない。
中澤駅長がずさんと指摘した当初計画書には年間来場者数100万人と記されていたが、現在の萩しーまーとの来者数はそれを大きく上回っている。
萩市は人口減少が著しい自治体だ。1955年には約9万7000人あった人口も今や約5万人にまで縮小している。2005年には旧萩市と周辺の6町村が対等合併し新制の萩市が誕生し、その面積は東京23区よりも広い。市内には道の駅が8つあるが、その多くは廃止された自治体がそれぞれ立てた施設だ。
平成の大合併によって道の駅を複数抱えることになった自治体はほかにもあり、千葉県南房総市と岐阜県高山市はそれぞれ8駅有する。
萩市は2010年12月にまとめた「萩市過疎地域自立促進計画」の中で、市内の道の駅のネットワーク化を進め、地産地消を基本とした産地の顔の見える農産物流通を図っていくとしている。各駅がうまく共存していくのか、それとも淘汰されていくのか、岐路に立たされているといい。
2015年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」の舞台は萩。道の駅の来場客の増加が予想されるけれども、それが長く続く保証はない。萩市内の道の駅が今後どのような方向に進んでいくか、他の地域の駅にとっても参考事例となることだろう。