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「来県」のこと何て言う? 来広・来栃・来崎(?)・来寧(???)

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.02.13 11:55
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「×××さん来県」――有名人などが地方を訪問した際、地元の新聞ではこんな見出しで紹介されることが多い。

ところでこの「来県」にあたる言葉、地域によってかなり言い方に差がある。

たとえば、広島県の新聞ではしばしば、「来広(らいこう)」という言葉が使われる。

「オバマ大統領の来広実現に努力 岸田外相、広島の会合で強調」(広島・中国新聞、2014年1月12日朝刊)

見ての通り、県名の「広島」から上の一字を取った形だ。

多くの県では、この「来+県名の頭文字」というパターンが一般的に用いられている。

「首相来岐、アベノミクス熱弁」(岐阜・岐阜新聞、2013年7月16日朝刊)
「袁社長は、香港からの誘客促進を図る県の招きで来青した」(青森・東奥日報、2013年4月23日朝刊)

ところがすこし調べてみると、この「来×」、言う県と言わない県があるらしい。たとえば兵庫県では「来兵」になるはずだが、そんな表現はめったに聞かれない。

県名より具体的な都市名使うケースも

そこで、新聞記事データベースやインターネット上での地元住民の発言などを参考にしながら、47都道府県での「来県」の表現法について調査することとした。

「来県」の表現についてまとめた地図。白の都府県は「来×」が確認できなかった
「来県」の表現についてまとめた地図。白の都府県は「来×」が確認できなかった

結果、31道府県で独自の「来県」表現が確認できた。

このうち、上記「来広」型の「県名の1文字目」を使っているのは以下の23府県。

青森、岩手、秋田、福島、栃木、群馬、富山、福井、長野、岐阜、静岡、京都、鳥取、岡山、広島、香川、徳島、高知、福岡、佐賀、熊本、鹿児島、沖縄

全体の約半数がこのタイプだ。

もっとも、たとえば熊本の「来熊」、静岡の「来静」などは比較的よく使われるが、群馬の「来群」はマイナーだ。使用頻度には地域によりかなり差がある。秋田の「来秋」も「来年の秋」と紛らわしいせいか、特に新聞などではあまり見かけなかった。

逆に、こうした表現が確認できなかったのは、

宮城、茨城、埼玉、東京、神奈川、山梨、愛知、石川、滋賀、和歌山、兵庫、三重、島根、山口、愛媛、宮崎

の16都県だ。「来埼」などいかにも使いそうな感じだが、少なくとも近年の埼玉新聞などでは用例がない。

明確な線引きは難しいが、少なくともあまり使わない地域にはいくつかの特徴がある。

(1)首都圏にあるためそもそも「来県」が話題にならない(東京など)
(2)別の意味にとれるためややこしい(「来島」「来山」など。上述の「来秋」も)
(3)都道府県名と主要都市名が違い、都市名の方がメジャー

このうち(3)に該当する地域では、代わりにその都市名を元にした「来×」が使われることが多い。たとえば宮城では「来仙」(仙台)、兵庫では「来神」(神戸)などの表現が頻繁に用いられる。

北海道は「来道」じゃないとダメ

一方、「来広」型以外のパターンもある。

たとえば北海道では「来北」ではなく、「来道」だ。このように、「来+県名の一部」だが、使うのが1文字目以外、という地域は複数あり、

山形(来形)、千葉(来葉)、大阪(来阪)、長崎(来崎)、大分(来分)

の6道府県が該当する。長崎が「来長」ではなく「来崎」なのは、長野との重複を避けるため......とも思えるが、むしろ近所の宮崎とかぶっている気も。なお、かぶりついでに言えば、「来福」は福島、福井、福岡の3県で用いられており、都道府県間での重複はあまり意識されていない様子だ。

また新潟では「来新」も用例があるものの、地方紙などでは旧国名・越後にちなみ「来越」がもっぱら用いられる。こうした旧国名型として、三重県では「来勢」(伊勢)、山梨では「来甲」(甲府)という言い方があるが、これは県の一部分だったり具体的な都市を指すことが多いので今回は除外している。

残るのは奈良だが、なんとこれが「来寧」。自治体のウェブサイトなどでも使われる言い回しで、奈良の雅称・寧楽にちなんだものだとか。上記旧国名型の変種といえるが、インパクトでは47都道府県一だろう。

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