ハウステンボスのイルミネーションがすごくなっている理由
開業以来18年にわたり赤字だったハウステンボスが復活した秘訣について、取締役の中谷高士氏が明かしている。2013年12月9日付け日経電子版に掲載された。
「オランダ」へのこだわり緩めた
ハウステンボスは長崎県佐世保市にある、17世紀オランダの街並みを再現したテーマパーク。1992年に開業後、一度も黒字化しないまま2003年に会社更生法の適用を申請した。
翌年にリニューアルオープンしたものの業績は改善せず、2010年に旅行会社エイチ・アイ・エスの傘下に入った。
その後、新しいイベントや施設開業を打ち出し、わずか1年で黒字化。2012年度後半の来場者数は前年同期に比べて47.5%増の129万人。営業利益は135%増を達成した。
オランダをテーマにしたハウステンボスだが、中谷氏によると魅力ある施設に変えられた理由のひとつは、意外なことに「オランダの街と関係ない」施設やイベントを積極的に導入したことだったという。
「テーマパークの雰囲気を壊す」と長年却下してきたサービスを実行してみると、従来の顧客層だったシニアに加え、ファミリーやカップルなど多様な世代の「遊園地で遊びたい」というニーズをつかめた。
「100万本」「1000万球」で目を引く
人目を引くために、同じバラ園でも「100万本」「アジア最大級」という分かりやすいキャッチフレーズを入れ、人目を引くようにした。これが、バブル期に建設した「本物度」の高い建物や街路、運河と組み合わされることで効果があがったようだ。
「イベントの成否や来場者のニーズ」が肌身に感じやすくなることもあり、イベントの設営は専門業者に丸投げではなく、本社の社員も手伝って場内で接客もしている。
来年3月末まで「光の王国」と題し、1000万球を超える世界最大級のイルミネーションを展開している。これが12月11日の昼のバラエティ番組で紹介されると、ツイッターには投稿が殺到した。
「ハウステンボスよ、いつからそんなにハイスペックになった??」
という声も見られる。本当はできる力があるのに、自分たちの「こだわり」で限界を設けている会社は少なくないのではないか。