東日本で作られ、関西で消費される「白菜」のナゾ
冬野菜のひとつ、白菜。白菜の生産は茨城県と長野県が非常に盛んで、収穫量ランキングの1位と2位。ともに20万トンを超えている。3位と4位は北海道と群馬県で、約3万トンとグッと減るが、この4県で全国の収穫量の56%以上を占める。
一方で消費量となると、実は関西が上位を独占しているのをご存じだろうか。総務省の「家計調査」によると、白菜購入額の1位は大阪市で1948円。全国平均を700円以上も上回る。以下神戸市、京都市、大津市と続く。
大阪市は2001年から12年連続でトップを続けている。なぜこれほどまでに関西の消費が多いのか。要因のひとつに「鍋料理」の存在が考えられている。兵庫の「ぼたん鍋」、京都の「鴨鍋」、滋賀の「ドジョウ鍋」など枚挙に暇がない。
天下の台所と呼ばれた大阪は「しゃぶしゃぶ」「てっちり」「うどんすき」などの発祥地。それらの料理に相性ぴったりなのが白菜というわけだ。東北地方にも鍋料理は少なくない気もするが、白菜はあまり使われていないようだ。
実は日本人が食べるようになったのは明治時代からと比較的新しい。原産地は中国。日清・日露戦争の兵士が現地調達した白菜を食べていたこともあって需要が急増した。
もう一つ考えられる要因は「キムチ」。日経新聞のウェブサイトでは、大阪府に住む約12万人の在日韓国・朝鮮人が家庭でキムチを漬けるために大量に購入している様子を紹介していた。在日外国人の習慣が、これだけ多くの野菜の消費に影響するとすれば興味深い。
クセがなくて火の通し具合で微妙においしさの変化が味わえる白菜。栄養面ではビタミンCを多く含み、カロリーが低いのでダイエットが気になる人にもおすすめ。なによりカサがあって安い。東日本でも、もっと売れる余地があるのではないだろうか。