「気持ち悪い」「いや意外と可愛い」 石川県新ゆるキャラ「ひゃくまんさん」賛否両論で盛り上がり
いま日本は空前の「ゆるキャラブーム」。2012年に関連商品の総売上293億円を叩き出した熊本県の「くまモン」や、非公認ながら「ご当地キャラ総選挙2013」で優勝した千葉県船橋市の「ふなっしー」など、可愛いものからちょっとキワモノなものまで人気を博している。
そんな中、石川県から「ひゃくまんさん」なる新星が現れた。誕生から2か月ほどだが、早くも「可愛くない!」「気持ち悪い!」と散々な言われようだ。あまりに批判されたためか「いや意外と可愛い」「言うほどひどくない」と擁護の声も出てきて、意外な盛り上がりを見せている。
県議会では「孫からはキモいとまで...」
「ひゃくまんさん」は15年春に開業する北陸新幹線をPRするために作られた。だるまに似た郷土品「加賀八幡起上り」をモチーフに、加賀友禅や九谷焼をイメージした華やかな模様があしらわれている。
眉毛は金箔、ひげは輪島塗、背中には大きく「石川県」と書かれ、これでもかと県をアピールしているキャラクターだ。
デザインが決定したのは13年8月16日だが、約2週間後に開かれた石川県議会 商工労働公安委員会で、早速こんな意見が飛び出した。
「これで石川県をイメージできるってのは、どこでできるんですか...?」
「女房の評価はイマイチでありましたし、孫に至っては『キモい』ということまで...」
9月27日に公募で「ひゃくまんさん」という名前に決まり、10月22日には着ぐるみのお披露目もされたが、話題になるたびにネット上でも「何これ?」「微妙...」と批判が書き込まれていた。
13年10月25日には、ついに「みのもんたの朝ズバッ!」(TBS系)に特集を組まれ、全国ネットデビューも果たした。しかしその内容は「かわいくない、気持ち悪いと批判続出」という不名誉なものだ。
選考委員長「何でこの良さを気付かないのかいな!」
番組に登場した石川県議会の安居知世議員は「ゆるキャラなのに、ゆるくない。パッと見て可愛いって...言えます?」と首をかしげた。商工労働公安委員会の西田昭二委員長も「すごい奇抜なデザインだなということは思いました」と慎重な言い回しをしつつ、委員会の中で「全体の7~8割ぐらいは相当厳しい話が出ておりました」と明かす。
さらに地元民からも「後ろがダサい」「もうちょっといいのなかったのかな」「変だと思われるよ」「全体が不細工。大体ひげが気に食わない」といった辛らつな意見が上がっているようだ。
一方、地元の幼稚園で園児88人にアンケートを取ったところ、「かわいい」が62人、「かわいくない」が26人だった。意外と子供からは好評を得ているらしい。
CMディレクターで、今回のキャラクターの選考委員長を務めた石川県観光総合プロデューサーの早川和良氏は、取材に対し「何でこの良さを気付かないのかいな!」と、はがゆい気持ちをぶちまけた。「日本を代表するキャラクターに成長するんじゃないかとひそかに思っております」と、選考にはかなりの自信を持っているようだ。
谷本正憲県知事も、ひゃくまんさんと同様デザイン決定時は大いに批判を浴びた奈良県のキャラクター・せんとくんを引き合いに出し、期待をのぞかせた。
「賛否両論あっても関心を持ってもらうことが一番いいことではないでしょうか。無関心が一番いけないってことなんでね。せんとくんの例もありますからね、私は大化けすると思います」
「せんとくん以来の衝撃w」「可愛い!何がダメなの?」
スタジオでは等身大のひゃくまんさんパネルが登場したが、コメンテーターの吉川美代子さんは「う~ん...一見カラフルなだるま...」とコメントしづらそうに話し、与良正男さんも「詰め込みすぎ...」と戸惑った様子だった。
朝ズバッ!が放送されると、ネット上では
「批判が出てるのも頷ける。ゆるキャラちゃうやろ!かわいくない」
「これはwせんとくん以来の衝撃受けたぞw」
「ひゃくまんさん可愛い!!え?何がダメなの??すげぇ可愛い」
「ゆるキャラなんてインパクト命だから間違ってはないなw」
などと書き込まれ、賛否両論で大いに盛り上がっている。ツイッターでは一時「ひゃくまんさん」がトレンド入りも果たしていた。県知事の思惑通り、多くの人の関心をひきつけていることは間違いないようだ。
ゆるキャラの名づけ親、みうらじゅん氏も「地元の良さをアピールしたいがためにいろんな要素を盛り込みすぎて、一般の目にはなにやらシュールな物体に映ってしまったキャラ」と、その定義を述べている。「ひゃくまんさん」こそ本来のゆるキャラの姿なのかもしれない。
なお、ひゃくまんさんは13年10月27日、東京・日本橋で開かれるイベント「大江戸活粋パレード」に登場。ぐんまちゃんやせんとくんなど人気ご当地キャラクターと共に、都心の大通りを練り歩く予定だ。