明治と今を見比べられる『東京100年散歩』でタイムトラベラー気分を味わおう
地元に久しぶりに帰省すると、よく行ったお店がつぶれていたり、新しいビルが建っていたりして、街並みの変化にちょっとした浦島太郎の心境になる。1年や2年でさえそうなのだから、それが100年ともなれば――。
2015年12月に発売された鷹野晃さんの写真集『東京100年散歩』(海竜社、2000円(税別))は、読むだけでそんな「タイムトラベル」体験ができる一冊だ。
たとえば、本の中でも紹介されているこの写真。どこで撮影されたものかお分かりだろうか。ヒントとなるのは、左奥の時計塔だ。よく見ると、「服部時計店(現:セイコー)」の看板があるのがわかる。そう、現在も時計台を備えていることでおなじみ、和光前の銀座4丁目交差点だ。
この本では、こうした明治当時の白黒写真を、鷹野さんが同じ地点から撮影した現在の東京とともに紹介している。面影もないほどに大きく変わった場所もあれば、当時の建築物が今も残り、100年前の景色を今に伝える場所もある。
眺めていると、現代に飛ばされてきた明治人気分に。帝都の変貌に、思わず「ずいぶん立派になって......」と目を細めてしまう。ちなみに撮影場所、また国立国会図書館データベースを利用しての古写真の探し方なども掲載されているので、カメラを持って自分でも「100年散歩」を実践できる。