なぜ美容業界は「健康」まで扱うようになったのか 変わる消費者ニーズ
美容や健康への関心が高まるなか、消費者が求めるサービスも変化している。外見を整えるための施術や化粧品だけでなく、食生活や日々のコンディションまで含めて考える「包括的なケア」を打ち出す企業も増えてきた。
一方で、美容と健康を一体で捉えるサービスは、どこまで顧客の生活に入り込み、どのような価値を提供できるのか。サービスの幅が広がるほど、品質管理や情報提供のあり方も問われる。本記事では、化粧品・健康食品とエステサロンの両事業を展開する株式会社E.MIRAIへの取材をもとに、美容業界で進む「外側と内側の両面からのケア」について考える。
「外見」だけではないケアが求められる背景
美容・健康業界では、顧客の悩みやニーズが多様化している。
従来は、肌や体形など個別の悩みに対して商品や施術を提供する形が中心だったが、近年は生活習慣や日常的なセルフケアまで含めて提案するサービスも増えている。背景には、インターネットやSNSの普及によって、美容や健康に関する情報へ簡単にアクセスできるようになったこともある。
選択肢が増えた一方で、消費者側には「何を選ぶべきか分からない」という新たな悩みも生まれている。
E.MIRAIは「美しさは、外側だけでは完成しない」という考え方を掲げ、外見へのアプローチと、日常生活の中で取り入れる健康関連の商品を組み合わせた事業を展開している。同社では、身体の外側を整える施術だけでなく、普段の生活習慣にも目を向けることで、継続的なケアにつなげることを目指しているという。
ただし、美容と健康を一体で捉える場合には、消費者がサービスや商品の目的を正しく理解できるよう、情報の伝え方にも注意が必要になる。
化粧品・健康食品とエステを組み合わせる意味
同社の事業は、「化粧品・健康食品事業」と「エステサロン事業」の二つを柱としている。
化粧品や健康食品は自宅で日常的に取り入れられる一方、エステサロンでは専門スタッフによる施術やカウンセリングを受けることができる。こうした複数の接点を持つことで、顧客の生活スタイルやコンディションに応じた提案を行いやすくなるという。
一方、事業領域が広がれば、それぞれのサービス品質を一定に保つ難しさも増す。
商品販売と施術サービスでは求められる専門知識や接客方法も異なり、社内の教育体制や情報共有が重要になる。また、複数のサービスを組み合わせることで利便性が高まる反面、顧客にとって「本当に必要なサービスなのか」が分かりにくくなる可能性もある。企業側には、利用者の状態や希望を踏まえたうえで、過度な利用を促すのではなく、適切な選択肢を提示する姿勢が求められる。
デジタル化が進むほど「対面」の役割はどう変わるか
美容業界でも、オンラインカウンセリングやEC、SNSを活用した商品提案など、デジタル化が進んでいる。その結果、商品を購入するだけであれば、店舗へ足を運ばなくても完結するケースは増えている。
一方、対面サービスでは、利用者の悩みや生活状況を直接聞きながら提案できるという特徴がある。E.MIRAIでも、カウンセリングを通じて顧客ごとの要望を把握し、商品や施術を提案しているという。ただ、対面での提案は、担当者の知識や経験に左右される部分も大きい。担当者によって説明や提案内容にばらつきが出ないようにするためには、人材育成や社内基準の整備が必要になる。
デジタルで効率化できる部分と、人が対応した方が良い部分をどう切り分けるかは、美容サービス全体の課題でもある。
美容と健康を扱う企業に求められるもの
美容・健康分野では、新しい商品や施術が次々と登場する。
そのため、企業にはトレンドへの対応だけでなく、サービスの安全性や説明の分かりやすさ、従業員の知識更新なども求められる。E.MIRAIでは、取締役会長の磯上恵美子氏のもと、複数の事業を通じて美容と健康の両面に関わるサービスを展開している。今後のポイントとなるのは、こうした複合型のサービスが一時的な流行にとどまらず、利用者にとって分かりやすく、継続的に利用できる仕組みとして定着するかどうかだ。
美容と健康の境界が曖昧になるなか、企業側には幅広い選択肢を提示するだけでなく、それぞれのサービスの役割や限界を明確に伝えることも求められる。「外側」と「内側」の両方からケアするという考え方が、今後どこまで消費者に受け入れられるのか。美容業界における一つの潮流として、その広がりが注目される。

【取材協力】
株式会社E.MIRAI
取締役会長 磯上 恵美子
https://emirai-grp.com