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放射熱を80%以上抑制可能な「低放射折板(せっぱん)屋根」を本格運用開始(ニュースレター)

2023.01.05 14:09

2023年1月5日
大和ハウス工業株式会社
代表取締役社長 芳井敬一
大阪市北区梅田3-3-5

大和ハウス工業株式会社(本社:大阪市、社長:芳井敬一)は、室内の暑さの原因となる屋根の放射熱(※1)を一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制する「低放射折板屋根」を開発し、2023年1月から本格運用を開始します(※2)。
※1.物体表面から放出される電磁波(遠赤外線)が他の物体に吸収されて発生する熱のこと。高温の物体ほど強い電磁波を放出する。
※2.関連特許出願済み。

猛暑日が年々増加(※3)する中で、工場や倉庫などでは労働災害の観点から従業員の熱中症対策が課題となっています。2022年6月の熱中症による全国の救急搬送者数は、前年の約3.2倍となる15,969人と、調査開始以来で過去最多となりました(※4)。熱中症は屋外だけではなく室内でも多く発生しており、特に工場や倉庫などで作業する製造業では、熱中症の約半数の46%が室内作業時に発症しています(※5)。
その一因が、屋根からの強い放射熱です。工場や倉庫の多くに採用される折板屋根は、軽量で一定の強度を持つ一方、日射により高温化しやすく、強い放射熱によって室内を暑くするため、室内作業中の従業員などが熱中症を引き起こす恐れがあります。
そこで、当社は一般的な折板屋根と比較して放射熱を80%以上抑制し、室内の暑さを緩和する「低放射折板屋根」を開発(※6)しました。
「低放射折板屋根」は、空調設備を導入しない新築の工場や倉庫などを対象として、2019年3月から一部エリア(関東、中部、関西圏)で先行採用していましたが、2023年1月からは36都府県(※7)で本格運用を開始します。
※3.気象庁HP「気温の階級別日数の長期変化傾向」より。
※4.一般財団法人 日本気象協会の報道参考資料(2022年11月10日)より。
※5.2021年の業種別屋内災害割合。厚生労働省HP「職場でおこる熱中症」より。
※6.日鉄鋼板(株)、ニチアス(株)の技術協力による。
※7.北海道、青森県、秋田件、岩手県、山形県、宮城県、新潟県、富山県、石川県、福井県、沖縄県以外の36都府県。

●ポイント
1.放射熱を一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制し、室内の体感温度を3℃低くできることを確認
2.高い施工性と導入コストの抑制を実現した熱中症対策屋根材

1.放射熱を一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制し、室内の体感温度を3℃低くできることを確認
「低放射折板屋根」は、折板屋根の下面に低放射裏貼材を接着することで放射熱を抑えることができる屋根材です。アルミ系遮熱シートとガラス繊維系断熱材を組み合わせた独自の低放射裏貼材が、日射で高温になった屋根の放射熱を抑え、一般的な折板屋根と比較して80%以上抑制します。
2018年6月と2018年8月に実施した実証実験では、暑さに対する効果検証を行うために同一建物に「低放射折板屋根」と一般的な折板屋根を採用しました。その結果、「低放射折板屋根」を採用した室内の体感温度は、一般的な折板屋根の室内と比較して3℃低減(※8)できることを確認しました。
※8.体感温度に近いとされるグローブ温度計(表面が黒色の銅球に、ガラス製温度計を挿入した温度計)を使った、当社施工物件(大阪府豊中市)における測定結果。なお、同様の効果を得るためには一定の条件が必要となる。

2.高い施工性と導入コストの抑制を実現した熱中症対策屋根材
「低放射折板屋根」は、一般的な折板屋根と同等の高い施工性を維持しつつ、暑さの軽減効果を高めることのできる、費用対効果の高い屋根材です。
室内での熱中症対策として採用される二重断熱折板屋根(※9)や遮熱シート(※10)は、一般的な折板屋根と比べ部材や施工工程が多くなり、その分費用が増加してしまいますが、「低放射折板屋根」は屋根材となる鋼板と低放射裏貼材を接着した状態で工事現場に搬入され、一般的な折板屋根と同様の工程で施工できるため、導入コストの抑制を実現できます。
二重断熱折板屋根と比較すると、暑さの軽減効果は同等でありながら、導入費用を7割程度に抑えることができます。
※9.折板屋根を上下二重に施工し、上下折板の間に断熱材を挟んだ屋根。
※10.反射に優れた素材を使用し、太陽からの放射熱を抑制するシート。

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